はじめに
SNSや広告があふれる時代、お客様の心を動かすのは「情報」ではなく「物語」です。
どんなに良い商品でも、物語がなければ記憶に残りません。
岩崎邦彦先生はこう語っています。
「スモールビジネスの最大の武器は、“語ることのできるストーリー”である。」
小さな会社ほど、創業の想い、人の努力、顧客との出会い──
“リアルなドラマ”を持っています。
それを言葉にし、伝えることでブランドが生まれるのです。
物語がブランドにもたらす力
なぜストーリーが必要なのか?
それは、人は“共感”で行動するからです。
たとえば、あなたがトマトを買うとき、
「糖度8度」と書かれた商品より、
「水を絞って育てた甘いトマト」「農家が一粒ずつ選別したトマト」と聞いた方が、
“心が動く”のではないでしょうか。
アメーラトマトもまさにその例です。
糖度や価格ではなく、「手間を惜しまない農家の情熱」というストーリーが、
消費者の共感を生み、ブランドとして確立しました。
スモールビジネスにしか語れない3つの物語
1. 創業の物語
「なぜこの仕事を始めたのか」──これがブランドの原点です。
多くのスモールビジネスには、「自分の想いを形にしたい」「地域に貢献したい」といった情熱の始まりがあります。
たとえば、
- 家族の健康を守るためにオーガニック食品を作り始めた
- 自分の町を元気にしたくてカフェを開いた
- 地域の伝統を次世代に残したい
この“想いの出発点”こそ、他社が真似できないストーリーです。
2. 現場の物語
次に語るべきは、「どのように仕事をしているか」。
小さな会社の現場には、手作業・努力・工夫といった“人の温度”があります。
たとえば、
- パン生地を毎朝3時から仕込む
- 客の名前を覚えて手書きのメッセージを添える
- 天候や素材の状態に合わせて味を微調整する
こうした“見えない努力”を発信することで、
お客様は「この人たちから買いたい」と思うようになります。
ブランドは、現場の汗の結晶から生まれる。
3. 顧客との物語
最後に、ブランドを支えるのはお客様との関係です。
口コミで広がった感謝の言葉、リピートしてくれる常連客とのエピソード──
これらを紹介することで、ブランドに“温かさ”が加わります。
たとえば、
- 「誕生日にここのケーキを買うのが毎年の恒例になった」
- 「子どもがこの店の味で育った」
- 「初めてのプレゼントがアメーラトマトだった」
お客様の人生に寄り添う存在になることこそ、スモールビジネス最大のブランド価値です。
物語を“伝える”3つのコツ
- 感情を中心に語る
数字ではなく、“想い”や“気づき”を伝える。 - 登場人物を明確にする
「誰が」「どんな想いで」「何をしたのか」を具体的に。 - 写真や映像で裏付ける
現場や笑顔の写真を添えると、言葉にリアリティが生まれる。
アメーラトマトも、「農家の顔が見えるブランド」として、
パンフレットやSNSに生産者のストーリーを載せることで信頼を高めました。
まとめ ─ “想いを伝える”ことがマーケティング
スモールビジネスにとってのブランドストーリーとは、
「あなたの想いをお客様の言葉に変えること」です。
- 創業の想いを語る
- 現場の努力を見せる
- お客様との関係を共有する
この3つを繋ぐことで、単なる“商品説明”が“共感の物語”になります。
岩崎先生の言葉を借りれば、
「ブランドとは、想いを共有し続けるための物語である。」
次回は「第16回:ストーリーブランディングの実践 ─ 自社の物語をつくるワーク」で、
実際にあなたの会社の“物語づくり”を手順に沿って進めていきます。
次回は、「第15回:スモールビジネスのブランドストーリー ─ 物語で伝えるマーケティング」へ。
あなたの会社の想いを“物語”として伝える方法を解説します。
「起業に関心がある」方へ
起業を考えているが迷っている。具体的にどうしたらよいかわからない。。。
そんなお悩みに、アドバイザーとして一緒に伴走します。
必要なのは、「少しの整理」と「最初の一歩」です。
私は港区で日々、創業者の伴走支援を行っています。
もし「自分の想いをどう形にすればいいか分からない」「制度の使い方がよくわからない」といった不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

