第17回:ストーリーを伝えるデザイン ─ 見た目で共感を生む仕掛け


目次

はじめに

「ブランドは言葉ではなく“印象”で記憶される。」
これは、岩崎邦彦先生がセミナーで強調された言葉です。

どんなに良いストーリーを持っていても、
見た目(デザイン)がそれに合っていなければ、顧客の心には届きません。
スモールビジネスにとって、デザインとは単なる“装飾”ではなく、ストーリーを視覚化する表現手段です。


デザインは「もうひとつの言葉」

デザインには、言葉以上に早く・強く伝える力があります。
ロゴ、名刺、店の看板、Webサイト、チラシ──
それらはすべて、あなたのブランドの「無言の語り手」です。

アメーラトマトのパッケージを思い出してください。
赤と白を基調にしたシンプルなデザインは、清潔感と上品さを感じさせます。
装飾を削ぎ落としたその見た目は、「味で勝負する」というブランドの信念をそのまま体現しています。

デザインとは、言葉のいらないメッセージである。


スモールビジネスのための3つのデザイン原則

1. 「らしさ」を形にする

大企業はトレンドで勝負しますが、スモールビジネスは**“個性”で勝負**します。
そのためには、「自分たちらしさ」を明確にデザインで表現することが重要です。

たとえば:

  • 優しさを伝えたい → 柔らかいフォントと余白を多く
  • 職人の誠実さを伝えたい → 素材感を活かした紙や質感
  • 革新性を打ち出したい → シンプルで直線的な構図

自社のストーリーを一言で表すなら何か?
その言葉をビジュアルに落とし込むのが、デザインの第一歩です。


2. 一貫性を持たせる

ブランドデザインでもっとも大切なのは統一感です。
ロゴ、フォント、色、写真のトーンがバラバラだと、ブランドが分散して見えます。

アメーラトマトは、すべての販促物で「白+赤+シルバー」を基調とし、
“清潔・高品質・上品”という印象をブレずに守っています。

スモールビジネスでも、

  • 名刺・チラシ・Webサイトを同じ配色で統一
  • SNS投稿のテンプレートを決める
  • 写真の明るさや背景トーンを揃える

といった工夫で、印象を一気に高めることができます。

一貫性は“信頼感”に変わる。


3. 見た目に「余白」をつくる

情報を詰め込みすぎると、デザインは“雑音”になります。
スモールビジネスほど、“削る勇気”がブランドの洗練を生みます。

岩崎先生の『引き算する勇気』でも繰り返し強調されているように、

「余白は、信頼のデザインである。」

余白は、商品や言葉を“際立たせるための空間”。
お客様に「丁寧さ」「誠実さ」「落ち着き」を感じさせる力があります。


デザインとストーリーをつなぐ3つの視点

  1. 視覚でストーリーを語る
     → 写真・色・形に「物語の世界観」を反映する。
  2. 感情のトーンを統一する
     → 優しさ、誠実さ、上品さなど、伝えたい感情を明確に。
  3. 顧客の目線で確認する
     → 「初めて見る人が何を感じるか?」を常に意識する。

デザインは“自分のため”ではなく、“お客様の理解を助けるため”にある。
その視点を忘れないことが、共感を生むデザインの基本です。


まとめ ─ デザインで伝えるストーリーの信頼

ストーリーブランディングを成功させるためには、
「語る」だけでなく「見せる」ことが欠かせません。

  1. “らしさ”を形にする
  2. 一貫性で信頼を生む
  3. 余白で誠実さを伝える

アメーラトマトのように、ストーリーとデザインが一体化すると、
お客様の記憶に“心地よい印象”が残り、ブランドが静かに浸透していきます。

「デザインとは、想いを視覚で伝えるマーケティングである。」

次回は、「第18回:ブランド体験を設計する ─ 五感で伝えるマーケティング」で、
見た目を超えて“体験として感じさせるブランド”づくりを探っていきます。


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この記事を書いた人

「好きなことを仕事にする」起業家の挑戦を応援する、東京都港区の起業支援会社です。
起業の道をともに歩むパートナーとして、豊富な実務経験と支援実績をもとに、実践的な伴走支援を行っています。
クライアントの夢の実現に向けて、専門性と創造性を活かしながら全力でサポートいたします。

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