第19回:リピートを生むブランド体験 ─ 顧客が戻ってくる仕組み

目次

はじめに

「初めてのお客様より、二度目のお客様を大切にする」──
これは、スモールビジネス経営の鉄則です。

岩崎邦彦先生は著書の中でこう述べています。

「小さな会社にとってのマーケティングとは、“もう一度来てもらう仕組み”である。」

どんなに素晴らしい商品やサービスでも、“一度きりの出会い”ではブランドになりません。
“リピート”こそが信頼の証であり、ブランドを持続させる最大の戦略なのです。


リピートが生まれるのは「感情」が動いたとき

お客様が再訪する理由は、価格や利便性ではありません。
「気持ちが動いた」「心地よかった」「また会いたい」と思ったときに人は戻ってきます。

たとえば、ある花屋さんでは、購入時に店主が「この花は一週間後に少し色が変わりますよ」とひと言添えるそうです。
その一言が“次も買って確かめたくなる”体験につながる。
これが、スモールビジネスにしかできない“感情のリピート設計”です。


リピートを生む3つの仕組み

1. 記憶に残る“体験の余韻”をつくる

人は、店を出た瞬間ではなく、“家に帰ってから”その体験を思い出します。
だからこそ、余韻を意識した仕掛けが大切です。

たとえば:

  • 手書きメッセージを添える
  • 開封時に香りが広がるようにする
  • SNSで「購入後に楽しむ方法」を発信

このように“帰ってからも心に残る工夫”を加えると、自然と次の来店動機が生まれます。


2. “名前で呼べる関係”を育てる

岩崎先生はこう語ります。

「顧客を覚えているという行為が、最大の信頼表現である。」

小さな会社だからこそ、お客様の名前、好み、過去の購入履歴を覚えられます。
「前回もいらっしゃいましたね」「この商品、また仕入れましたよ」と声をかける。
この“記憶の共有”が、顧客に「自分は特別に扱われている」という安心感を与えます。


3. “次に来る理由”を明確に示す

リピートを促すには、自然な“次の動線”を設計することが大切です。

たとえば:

  • 「次回ご来店時に○○を体験できます」
  • 「季節限定の新商品は来月発売」
  • 「感謝イベントのお知らせをお送りします」

顧客に“次に行く理由”があれば、再訪率は大きく変わります。

アメーラトマトも、「旬の時期にしか手に入らない」「糖度が季節で変わる」など、
“限定性”を巧みに活かしてリピート購入を促しています。


リピートの鍵は「小さな約束の積み重ね」

お客様がリピートする理由は、“信頼が積み重なった結果”です。
その信頼を生むのは、大きなキャンペーンではなく、日々の小さな約束の履行です。

  • いつも同じ味、同じ品質
  • 丁寧な対応がブレない
  • 予約や配送が時間通り

こうした「当たり前の一貫性」が、無意識の安心感を生みます。

「ブランドは、期待通りであり続ける勇気である。」


リピートを“仕組み化”する3つのステップ

  1. 顧客情報を記録する
     名前・購入履歴・好みなどをデータやノートで管理。
  2. 接点を定期的につくる
     ニュースレター、SNS投稿、DM、手紙など。
     「忘れられない存在」になる工夫を。
  3. 感謝を伝えるルーチンをつくる
     「1年記念」「誕生日」「初来店から100日」など、
     “感謝の節目”を設けて関係をリフレッシュする。

まとめ ─ リピートは信頼のバロメーター

リピート客が多い会社は、信頼が積み重なっている会社です。
スモールビジネスの成長は、「新規客の数」より「再訪客の深さ」で決まります。

  1. 感情が動く体験をつくる
  2. 名前で呼べる関係を築く
  3. 次の来店理由を設計する

アメーラトマトのように、「また食べたい」「また会いたい」と思われるブランドこそ、
スモールビジネスの理想の形です。

「リピートとは、“次も信じてもらえた”という最高の評価である。」

次回は、「第20回:ファンを育てるコミュニティマーケティング」で、
リピート顧客を“ブランドの仲間”へと育てる戦略を紹介します。


「起業に関心がある」方へ

起業を考えているが迷っている。具体的にどうしたらよいかわからない。。。

そんなお悩みに、アドバイザーとして一緒に伴走します。

必要なのは、「少しの整理」と「最初の一歩」です。

▶︎ 迷っているあなたへ:無料相談をご活用ください

私は港区で日々、創業者の伴走支援を行っています。

もし「自分の想いをどう形にすればいいか分からない」「制度の使い方がよくわからない」といった不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「好きなことを仕事にする」起業家の挑戦を応援する、東京都港区の起業支援会社です。
起業の道をともに歩むパートナーとして、豊富な実務経験と支援実績をもとに、実践的な伴走支援を行っています。
クライアントの夢の実現に向けて、専門性と創造性を活かしながら全力でサポートいたします。

目次