はじめに
SNSの時代になり、広告よりも“人のつながり”がブランドの拡散力を決めるようになりました。
岩崎邦彦先生はこの変化をこう表現しています。
「スモールビジネスのブランドは、“関係性の深さ”で強くなる。」
つまり、いかに多くの人に知ってもらうかではなく、
どれだけ“共感してくれる人”を増やせるかが重要なのです。
ファンは「顧客」ではなく「共感者」
「ファンづくり」と聞くと、キャンペーンや特典を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、本質はそこではありません。
ファンとは、“商品ではなく理念に共感してくれる人”のことです。
たとえば、アメーラトマトのファンは単に「甘いから買う」のではなく、
「手間を惜しまない生産者の姿勢」や「品質を守り続ける信念」に惹かれています。
このように、共感の輪が広がるとき、ブランドは“人が支える文化”に進化するのです。
コミュニティマーケティングとは
コミュニティマーケティングとは、顧客やファンが互いに交流しながら、
ブランドとともに価値を共有していく仕組みのことです。
大切なのは、“発信する場”ではなく、“つながる場”をつくること。
企業が一方的に宣伝するのではなく、顧客同士が意見を交わし、学び合う場を提供します。
「ファンがファンを育てる仕組み」
─ これがコミュニティマーケティングの理想形。
スモールビジネスでできる3つのコミュニティ設計
1. オンラインコミュニティ
SNSグループ、LINE公式、Facebookページなどで、
“共感テーマ”を中心に交流の場をつくります。
アメーラトマトでは、Instagram上で「#アメーラファンの会」というハッシュタグが生まれ、
ファン同士が料理写真を投稿してつながっています。
スモールビジネスでも、
「○○好きな人集まれ」「オーナーと語る夜会」など、
共感でゆるくつながる場をつくることが大切です。
2. オフラインのつながり
地域ビジネスの場合、リアルの接点が最も強力です。
試食会、ワークショップ、感謝祭──。
こうした場を通じて「お客様から仲間へ」関係が変化します。
ファンは“体験を共有した人”から生まれる。
アメーラトマトも、地元の小学校や飲食店と連携した“食育イベント”を通じて、
「地元の誇り」としてブランドを根づかせました。
3. 企業と顧客の“共創”の場
最も強いコミュニティは、“一緒にブランドをつくる”関係です。
たとえば:
- 新商品のネーミングを募集する
- デザインや味の改良をファン投票で決める
- ファン代表を「ブランドアンバサダー」として紹介する
顧客が自らの意見を反映できると、ブランドへの“参加意識”が高まります。
それが“ファン化”の決定的な要素になります。
ファンが育つ3つの条件
- 理念が明確であること
→ 何を大切にしているブランドなのかを共有する。 - 一貫性のある発信
→ SNS・店舗・接客でトーンを統一する。 - 顧客の声を歓迎する姿勢
→ フィードバックを「改善」ではなく「共創」として受け取る。
岩崎先生は言います。
「スモールビジネスのブランドは、“共感→信頼→共創”という流れで強くなる。」
まとめ ─ ファンとともに育つブランドへ
スモールビジネスにおけるコミュニティマーケティングの本質は、
“ファンを囲う”ことではなく、“理念を共有する仲間を増やす”ことです。
- 共感を軸にした場をつくる
- オンラインとオフラインを組み合わせる
- 顧客を“共創パートナー”にする
アメーラトマトのように、顧客が自発的にブランドを広める状態が生まれたとき、
あなたのビジネスは「顧客に支えられるブランド」になります。
「ファンは“顧客”ではなく、“ブランドの仲間”である。」
次回は、「第21回:スモールビジネスにおける価格戦略 ─ 安さより“意味”で選ばれるブランド」で、
ファンに支持される“価格のつけ方”を解説します。
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