はじめに
スモールビジネスが持続的に成長するために欠かせないのが、“顧客ロイヤルティ”です。
岩崎邦彦先生は著書でこう述べています。
「ロイヤルティとは、満足を超えた“信頼と共感の絆”である。」
つまり、ロイヤルティとは単なるリピートではなく、
「この店で買いたい」「この人から買いたい」と感じる“心理的なつながり”のこと。
それが生まれると、顧客はあなたの“宣伝者”になります。
顧客ロイヤルティの3段階
顧客ロイヤルティは、段階的に育ちます。
岩崎先生の理論をベースに、スモールビジネスの実践に即して整理すると、以下の3ステップです。
- 信頼段階(Trust):
商品・サービスに満足し、「ここなら大丈夫」と思える状態。 - 共感段階(Affinity):
企業の想いや姿勢に共感し、「この会社が好き」と感じる段階。 - 支援段階(Advocacy):
自ら周囲に勧めたくなる、“応援者”になる段階。
アメーラトマトのファンも、この流れをたどっています。
最初は「おいしい」から始まり、「生産者の努力に共感し」、やがて「贈り物として人に紹介したい」という“応援者”になっていくのです。
ロイヤルティを育てる3つの仕組み
1. 「感情の共有」を増やす
顧客が“好きになる”のは、商品ではなく物語です。
アメーラトマトが愛されるのも、「水を控えて甘みを高める」という努力の物語があるから。
スモールビジネスでも、
- SNSで「今日の現場のひとコマ」を発信する
- スタッフの想いをブログで紹介する
- 顧客とのストーリーを掲載する
といった“心の温度が伝わる発信”が、共感を育てます。
「顧客は商品を買うのではなく、“姿勢”を買う。」
2. 「小さな感動」を積み重ねる
ロイヤルティは、一度の大きな感動ではなく、日々の“ちょっとした感動”で育ちます。
たとえば:
- メッセージカードに手書きの一言を添える
- 名前を覚えて声をかける
- 誕生日や記念日に小さなサプライズをする
こうした“想定外のやさしさ”が、顧客の記憶に残ります。
岩崎先生は「感動の再現性」こそ、ロイヤルティの源泉と語っています。
3. 「つながりの場」を提供する
ファンは、他のファンとつながることでより強くなります。
オンラインコミュニティやイベント、感謝祭など、**“関係を育てる場”**を用意することが大切です。
アメーラトマトも、ファン同士がレシピを共有したり、農家を訪ねたりする交流を通じて、
「ブランドを応援する文化」を築いています。
「関係は、買った後につくられる。」
ロイヤルティを可視化する3つの指標
スモールビジネスでも、ロイヤルティを“見える化”することができます。
| 指標 | 内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 再購入率 | 継続利用の割合 | 売上データ |
| 推奨率 | 顧客が他人に勧めているか | SNS・口コミ |
| 感情スコア | 「好き」「応援したい」という発言数 | コメント・アンケート |
これらを定期的に振り返ることで、顧客との関係の“深さ”が見えてきます。
信頼から愛着へ、愛着から絆へ
ロイヤルティは、信頼の延長線上にあります。
信頼を“理性”とするなら、ロイヤルティは“感情”です。
「信頼は、約束で生まれ、愛着は、共感で育つ。」
スモールビジネスがこの段階に到達すると、顧客は“離れない理由”を自分の中に持つようになります。
それが「この会社でなければ」という強固な絆です。
まとめ ─ “ファンと歩むブランド”へ
顧客ロイヤルティを育てるための基本原則は、次の3つです。
- 感情を共有する(物語を伝える)
- 小さな感動を積み重ねる(心の記憶を残す)
- つながりの場をつくる(顧客同士の絆を育てる)
アメーラトマトのように、顧客が“応援者”に変わるとき、
ブランドは“商品”から“文化”へと進化します。
「ロイヤルティとは、顧客との共感の循環である。」
次回は、「第27回:紹介を生むブランド ─ 顧客が語りたくなる仕掛け」で、
ロイヤルティを“口コミと紹介”に変えるマーケティングの仕組みを紹介します。
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