はじめに
デジタル時代になっても、“人と人のつながり”がブランドの本質であることに変わりはありません。
岩崎邦彦先生はこのように述べています。
「オンラインは“知る場”、オフラインは“感じる場”。この二つをつなぐことが、信頼の循環をつくる。」
スモールビジネスにとって理想のマーケティングとは、
SNSで関心を持ってもらい、リアルな体験で心をつかみ、
その感動を再びSNSで共有してもらう──という循環型メディア戦略です。
メディアミックスの目的は「世界観の一貫性」
メディアを増やすことが目的ではありません。
大切なのは、オンラインでもオフラインでも“同じブランドの空気”が伝わることです。
たとえば:
- SNSで見た写真と、実際に訪れた店舗の印象が一致している
- Webサイトの雰囲気とスタッフの対応が同じトーン
- 店舗のBGMや照明が、SNSの世界観と連動している
この「一貫性」があると、お客様は「この会社は信頼できる」と感じます。
「ブランドとは、どの接点でも“同じ心地よさ”を感じられること。」
オンラインとオフラインをつなぐ3つの仕組み
1. オンライン → オフライン:興味を“来店”につなげる
SNSやWebサイトは、“きっかけづくり”のメディアです。
オンライン上での発信が、「実際に行ってみたい」「会ってみたい」という動機を生みます。
アメーラトマトも、Instagramでの写真発信をきっかけに、
“収穫体験イベント”や“試食会”への参加者を増やしました。
スモールビジネスでも、
- SNSで「今日の現場」や「裏側の努力」を紹介
- 投稿に「○月○日に試食会を開催」など具体的な行動を促す情報を添える
ことで、発信が体験に変わります。
2. オフライン → オンライン:体験を“共有”に変える
リアルの感動体験を、SNSで自然に拡散してもらう仕掛けが大切です。
たとえば:
- 写真映えする店内デザインやパッケージ
- 「#○○体験」「#○○ファン」などのハッシュタグ案内
- イベントでの撮影スポットや投稿キャンペーン
アメーラトマトでは、「#アメーラを贈る」というタグが自然発生し、
“贈る喜び”がコミュニティのテーマとして広がりました。
「体験は、共有された瞬間に“ブランドの物語”になる。」
3. オンライン × オフライン:双方向の関係づくり
SNSとリアルのイベントを単発で終わらせず、お互いを補い合う仕組みをつくりましょう。
例:
- SNSフォローで試食会参加
- イベント来場者限定のオンラインクーポン
- 体験参加者の声をSNSで紹介
こうした“往復の導線”があることで、
お客様は「自分もブランドの一部だ」と感じるようになります。
「スモールビジネスのブランドは、顧客とともに育つ“双方向の物語”である。」
メディアミックス成功の3原則
- 一貫したデザインとトーン
→ ロゴ・色・言葉・写真のトーンを全メディアで統一。 - スタッフ全員が“語り手”になる
→ 店頭・SNS・メールなど、誰が対応しても同じメッセージを届ける。 - “体験”を中心に設計する
→ 発信もイベントも、“顧客がどんな気持ちになるか”から考える。
これらを意識することで、メディアがバラバラに機能するのではなく、
顧客体験という一本のストーリーとしてつながります。
まとめ ─ 世界観を貫くブランドへ
スモールビジネスのメディアミックス戦略の目的は、
「認知を広げること」ではなく、「信頼を深めること」。
- SNSで“きっかけ”をつくり、
- リアルで“感動”を届け、
- 体験を“共有”で広げる。
アメーラトマトのように、SNSの投稿と現場体験が連動しているブランドは、
“知ってもらう”を超え、“信じてもらう”段階に進化します。
「オンラインで共感を生み、オフラインで信頼を育てる。それがスモールブランドの時代の戦い方である。」
次回は、「第30回:スモールビジネスのブランド最終章 ─ “好き”から始まる永続経営」へ。
シリーズの総まとめとして、岩崎邦彦先生の理論を通じて、“好き”と“信頼”で続くブランド経営を振り返ります。
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