はじめに
「チラシを配っても反応がない」「SNSを始めたけど効果が見えない」──
こうした悩みは、多くの小規模事業者に共通しています。
実は、マーケティングの失敗の多くは「やり方」ではなく、「考え方の勘違い」から始まります。
静岡大学名誉教授・岩崎邦彦先生は次のように述べています。
「小さな会社に必要なのは“広げる”戦略ではなく、“深める”戦略である。」
つまり、広く多くの顧客を求めるよりも、目の前のお客様との関係を深めることが成長の鍵なのです。
第1の原則:新規顧客より既存顧客を大切にする
多くの経営者は「新しいお客様を増やせば売上が上がる」と考えがちです。
しかし、実際には新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するより5倍以上高いといわれています。
ある地域のカフェでは、SNS広告で新規顧客を増やすことよりも、「常連客との関係づくり」に力を入れました。
誕生日にメッセージを送る、季節限定メニューを常連限定で先行提供するなどの取り組みを続けた結果、リピート率が向上し、安定した売上を実現しています。
小さな会社は、まず“いま来てくれているお客様”を最大限に喜ばせること。
これが、最も確実なマーケティング投資です。
第2の原則:売り込みよりも“共感”を育てる
小規模事業が大企業に勝てるのは、「人の温かさ」と「物語の力」です。
岩崎先生は著書でこう述べています。
「スモールビジネスの価値は“共感”にある。人を動かすのは論理ではなく感情である。」
たとえば、ある地方のパン屋さんは「材料にこだわったパン」を売るのではなく、
「子どもに安心して食べさせられるパンを届けたい」という想いをSNSで発信しました。
このメッセージが共感を呼び、遠方からわざわざ訪れるお客様が増えたのです。
スモールビジネスに必要なのは、売り文句ではなく**“共感を育てる物語”** です。
第3の原則:数ではなく“つながり”を重視する
フォロワー数やPV(ページビュー)などの数字に一喜一憂していませんか?
マーケティングの本質は「数字」ではなく「関係性」です。
たとえフォロワーが100人でも、そのうち10人が熱心なファンなら、事業は十分に成立します。
逆に、1万人のフォロワーがいても誰も買ってくれないなら意味がありません。
スモールビジネスの成功は、“どれだけ多くの人に届いたか”ではなく、“どれだけ深く伝わったか” で決まります。
顧客との会話やアンケート、口コミの一言一言を大切にすることが、最も確実な成長戦略です。
まとめ ─ 小さくても失敗しない考え方
スモールビジネスマーケティングで失敗しないための3原則をまとめます。
- 新規顧客より既存顧客を大切にする
- 売り込みより共感を育てる
- 数よりつながりを重視する
これらはすべて、「顧客と近い距離で経営する」スモールビジネスの本質に通じます。
大企業の真似をする必要はありません。むしろ“小さいからこそできること”に集中することが、結果的に最も強いマーケティングになります。
次回は、「第4回:小さな会社が“強み”を見つける方法」で、
自社の価値をどう言語化し、顧客に伝えるかを具体的に見ていきましょう。
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