第10回:アメーラトマトに学ぶブランドづくり⑤ ─ 地域とともに育つブランド

目次

はじめに


スモールビジネスのブランドは、単独では育ちません。
「地域」という土壌に根を張り、その中で人とつながることで、初めて“強いブランド”になります。アメーラトマトのブランドづくりも、個人の努力だけでなく、地域全体の支えによって成り立っています。
この連携こそが、長く続くブランドの基盤になっているのです。


ブランドの原点は「地域の共感」から

アメーラトマトが生まれたのは、静岡県静岡市清水区。
かつてこの地域の農家は、安価なトマトの価格競争に苦しんでいました。
そんな中、「味で勝負できるブランドをつくろう」と立ち上がったのが、地元の数人の生産者でした。

この挑戦を支えたのが、行政・流通業者・地元JAの協力です。
地域が一体となって“高品質トマトのブランド化”に取り組んだ結果、
アメーラトマトは「静岡発の高級トマト」として全国に知られるようになりました。

「一人の力では“良い商品”は作れても、“ブランド”にはならない。」

スモールビジネスでも、地域のネットワークを活用すれば、
単なる個店から“地域を代表するブランド”へと成長できるのです。


地域連携でブランドが広がる3つの理由

1. “信用”を共有できる

地域の中で行政・金融機関・他の事業者とつながることで、
顧客に対して「信頼されるブランド」という印象を与えられます。
たとえば「○○商店街認定商品」「地元JA推奨」などの肩書きは、安心感を生みます。

アメーラトマトも、出荷基準を地域全体で統一することで、
「どの生産者から買っても品質が同じ」という安心感を築きました。


2. “声”を広げられる

地域との連携は、発信力を何倍にも高めます。
生産者だけでなく、販売店・飲食店・自治体など、さまざまな立場の人がブランドの発信者になります。

たとえば、地元レストランが「アメーラを使った特製パスタ」をSNSで発信する。
これが自然な口コミとして広がり、ブランドの世界観を補強していくのです。

小さな会社でも、地域イベントやコラボを通じて“共感の輪”を作ることで、
自分たちだけでは届かない層にメッセージを届けることができます。


3. “志”を共有できる

地域ブランドの強みは、「同じ志を持つ仲間」がいること。
アメーラトマトの生産者たちは、ライバルではなく“同志”として、互いに品質を高め合っています。
彼らに共通しているのは、「本当においしいトマトを届けたい」という想い。

この“志の共有”が、ブランドの一貫性を守る力になります。
スモールビジネスも、自分の理念に共感してくれる仲間と組むことで、
孤立せずにブランドを持続できるようになります。


地域ブランドは“共創”で育つ

アメーラトマトの成功をきっかけに、静岡では他の農産物ブランドも生まれました。
「しずおか茶」「静岡いちご」など、地域全体で“品質を軸にしたブランド戦略”を展開。
こうした動きが、地域の経済を支える大きな流れになっています。

スモールビジネスも、単独で戦うのではなく、
「地域をブランド化する一員」という視点を持つことで、新しいチャンスをつかめます。

ブランドは、個人ではなく“地域の文化”として根づいたときに強くなる。


まとめ ─ 地域とともに育つブランドの原則

アメーラトマトが示した地域連携の教訓は、スモールビジネスにもそのまま当てはまります。

  1. 地域の信頼を借りる(信用の共有)
  2. 地域の声で発信する(共感の拡散)
  3. 地域の仲間と理念を共有する(志の共創)

小さな会社が単独で勝つ時代は終わりました。
これからは、“地域とともにブランドを育てる時代”です。

次回は、「第11回:顧客がブランドを育てる ─ ファンとの共創マーケティング」へ。
ブランドが成長する“次のステージ”を一緒に見ていきましょう。


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この記事を書いた人

「好きなことを仕事にする」起業家の挑戦を応援する、東京都港区の起業支援会社です。
起業の道をともに歩むパートナーとして、豊富な実務経験と支援実績をもとに、実践的な伴走支援を行っています。
クライアントの夢の実現に向けて、専門性と創造性を活かしながら全力でサポートいたします。

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