はじめに
起業を目指す人にとって「お金の準備」は大きな課題です。自己資金だけでは足りず、外部資金を検討する際に選択肢として浮かぶのが 融資 と 補助金・助成金 です。しかし、この二つの性質は大きく異なります。「補助金は返さなくてよい」と聞いて安易に考える人もいますが、実際には計画や手続きに高いハードルがあり、必ずしも誰でも簡単にもらえるものではありません。本記事では、補助金・助成金の基本を整理し、融資との違いを明確に解説します。
補助金・助成金とは?
補助金・助成金 は、国や自治体が企業や個人事業主を支援するために交付する資金です。特徴は以下の通りです。
- 返済不要
融資と異なり、返済する必要はありません。事業の成長や社会的な目的達成を促進するために支給されます。 - 公募・審査がある
補助金は応募者全員が受け取れるわけではなく、審査を経て採択された事業のみが対象となります。 - 対象経費が限定される
事業の全費用に使えるわけではなく、広告費や設備投資、人材育成費など用途が決められています。 - 後払い方式が多い
まずは自分で支出し、その証拠書類を揃えてから精算して受け取る仕組みです。手元資金に余裕がないと活用が難しいこともあります。
一方、助成金 は補助金よりも利用条件が緩やかな場合が多く、例えば「従業員を雇用した」「研修を実施した」など、一定の条件を満たせば比較的受給しやすい制度が中心です。
融資とは
融資は、銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などの金融機関から資金を借り入れる方法です。特徴は以下の通りです。
返済義務がある
利息を付けて返済する必要があります。
審査基準は返済能力
事業計画の実現性や、過去の信用情報、自己資金の割合などが審査されます。
使途の自由度が高い
原則として事業に関連すれば幅広く利用可能です。補助金のように「対象経費の限定」は少ないです。
融資は返済負担がある一方で、資金調達のスピードが早く、採択率の制約もありません。
両者の違いを比較
| 項目 | 補助金・助成金 | 融資 |
|---|---|---|
| 資金の性質 | 返済不要 | 返済義務あり(元金+利息) |
| 受給条件 | 公募・審査あり/要件を満たす必要 | 返済能力を中心に審査 |
| 対象経費 | 限定(広告費、設備費など) | 原則自由 |
| 資金の入手時期 | 後払い(精算方式) | 借入実行後すぐ利用可能 |
| 活用の難易度 | 高め(計画・書類作成が必須) | 中程度(信用と返済能力次第) |
起業家にとっての使い分け
- 短期的に資金が必要な場合 → 融資
開業準備費用や運転資金は、融資のほうが即効性があります。 - 中長期的な成長投資 → 補助金・助成金
新商品開発や販路開拓など、将来の売上拡大につながる施策は補助金を活用すると効果的です。
実際には「自己資金+融資+補助金・助成金」を組み合わせるのが現実的で、いずれか一つに依存するのはリスクが高いといえます。
補助金・助成金を活用する際の注意点
- スケジュール管理が必須
公募期間は短く、申請から採択結果、そして入金まで数か月かかります。事業スケジュールと連動させて計画的に進める必要があります。 - 書類作成の労力が大きい
事業計画書や見積書、領収書など、多くの書類を正確に揃える必要があります。専門家の支援を受けるケースも一般的です。 - 採択されても入金されないケースがある
計画どおりに実施できなかったり、証憑が不備だったりすると、採択されても支給されない場合があります。
まとめ
補助金・助成金と融資は、いずれも起業における重要な資金調達手段ですが、その性質は大きく異なります。
- 融資は返済義務があるが、スピーディーで自由度が高い
- 補助金・助成金は返済不要だが、審査・手続き・後払いというハードルがある
起業家は「どの段階で、どの資金が必要か」を明確にし、両者をバランスよく活用することが求められます。
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