補助金入門 第5回:補助金申請でよくある失敗とその回避策 

はじめに

補助金を活用する際に最も重要なのは「正しいプロセスを理解しておくこと」です。補助金は単なる申請書提出で終わりではなく、採択後の実行、そして詳細な報告まで一連の流れが求められます。この流れを把握していないと、せっかく採択されても入金されない、あるいは不備で返還を求められるというリスクもあります。本記事では、補助金活用の基本プロセスを「計画 → 申請 → 実行 → 報告」の4ステップで整理します。

ステップ1:計画

補助金の活用は、事業計画を明確にすることから始まります。

  • 目的の明確化
     「販路開拓のために広告を出す」「新商品開発のために設備投資する」といった具体的な目的を設定します。
  • 対象経費の確認
     補助金によって対象となる経費が異なります。家賃や人件費が対象外の場合もあるため、募集要項を精読することが不可欠です。
  • スケジュールとの整合
     補助金の募集時期や交付決定までの期間と、事業の実行タイミングを照らし合わせる必要があります。タイミングが合わないと使えません。

この段階で「補助金がなければ事業が成り立たない」ではなく、「補助金があればより強化できる」という位置づけで計画を立てるのが理想です。


ステップ2:申請

次に申請手続きです。補助金の難しさはここに集約されています。

  • 申請書の作成
     事業概要、目的、ターゲット市場、実施内容、期待効果などを記載します。定量的な根拠(売上目標や顧客数の予測)が求められることが多いです。
  • 必要書類の準備
     見積書、登記事項証明書、税務関係書類、本人確認書類などが求められます。漏れや不備があると不採択の大きな原因になります。
  • 提出方法の確認
     近年はオンライン申請(jGrantsなど)が主流です。アカウント登録や電子証明書の取得が必要な場合もあるので、早めの準備が不可欠です。

申請段階での注意点は「誰が読んでも分かる」申請書を意識することです。専門用語や抽象的な表現は避け、読み手が事業の意義を理解できるようにします。


ステップ3:実行

採択されたら、計画通りに事業を進めていきます。

  • 対象経費の支出
     補助金は「後払い方式」が多いため、まずは自己資金や融資で経費を立て替える必要があります。
  • 証憑の保存
     領収書、請求書、契約書、発注書などを確実に保存しておきます。不備があると補助対象として認められません。
  • 計画変更時の対応
     広告費から設備費へ振り替えるなど、計画から変更が生じた場合には、必ず事務局に相談・承認を得る必要があります。独断で変更すると補助金が支給されないリスクがあります。

ステップ4:報告

事業が終わったら、最も重要なのが実績報告です。

  • 実績報告書の作成
     事業の実施内容、成果、支出内容を整理し、書類にまとめます。補助金はこの報告をもとに精算されます。
  • 支出証憑の提出
     領収書や請求書のコピー、振込明細書などを添付します。現金払いは認められない場合もあるため、銀行振込を基本とするのが安全です。
  • 事務局の確認・精算
     事務局が書類を確認し、問題なければ補助金が支払われます。不備があれば差し戻され、再提出が必要になります。

よくあるトラブルと対策

  • 経費が対象外だった
     申請前に「対象経費リスト」をチェックすることが必須。
  • 領収書の不備
     宛名、日付、金額が明記されていないと不承認になる可能性があります。
  • 事業スケジュールが遅れた
     助成対象期間を過ぎての支出は認められません。余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

まとめ

補助金の申請プロセスは、単に「申請して採択される」だけではなく、

  1. 計画を立てる
  2. 申請する
  3. 計画通りに実行する
  4. 成果を報告する

という4つのステップで構成されています。どの段階も丁寧に進める必要があり、特に「実績報告」がゴールであることを忘れてはいけません。

補助金を確実に活用するには、スケジュール管理と書類の正確性、そして支援機関や専門家との連携が欠かせません。正しいプロセスを理解した上で臨むことが、採択後の「安心して使える補助金」につながります。

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この記事を書いた人

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