はじめに
小売・飲食業にとって「来客数の拡大」「売上の持続的増加」は常に課題です。第18回小規模事業者持続化補助金の最新公募要領では、通常の販路開拓だけでなく、特例要件(インボイス特例、賃金引上げ特例)を満たすことで補助上限を引き上げられるため、使いどころを工夫することで効果が大きくなります。本記事では、最新の実際の活用事例をもとに、「補助金で何ができるか」「どう設計すると成果が出るか」を小売業・飲食業視点で紹介します。
最新要件のポイント(おさらい)
活用事例を理解する前に、最新要件の中で小売・飲食業者が特に押さえておきたい点を整理しておきます。
- 通常枠の補助上限は 50万円 だが、インボイス特例や賃金引上げ特例を満たせばこの上限に上乗せ可能。両方満たせば最大 200万円 上乗せできる。
- 補助率は原則 2/3。ただし「賃金引上げ特例」のうち、赤字事業者は 3/4 の補助率が適用されることがある。
- 申請方式は電子申請のみ。申請書類の入力、見積書等の準備、商工会・商工会議所のサポートを受けて様式4の発行などが必須。
- 募集期間・締切・様式の期限を厳守する必要あり。特に様式4の発行受付締切日など。
活用事例:飲食店・小売店での具体的な取り組み
以下は、最新公募要領や関連資料で紹介されている、小売・飲食業における持続化補助金の活用例です。
事例A:観光ぶどう園付き喫茶店(小売・飲食業ハイブリッド型)
- 取り組み内容:フリーズドライ製品の開発販売を目的に、パッケージデザインのブラッシュアップとリーフレット制作。高級スーパー等への販路開拓に活用。
- 効果:販路が拡大し、新しい顧客層への認知度アップ。販売店での商談機会を得るなど、売上基盤の強化につながった。
- 要件との関連:この事業は販路開拓が目的であり、商工会等の支援を受けて経営計画書・補助事業計画書を整備していた例。補助対象経費として広報費・借料・外注費などを使っている。
事例B:店舗改装+広告宣伝で顧客層拡大(飲食店)
- 取り組み内容:飲食店が店舗の一部改装(内装・照明改善)、店外看板の更新、チラシとWEB広告を併用したプロモーションを実施。
- 効果:来店客数が改善し、特に広告施策を行った期間の予約・注文数が上がる。既存客のリピート率や認知度の向上にも寄与。
- 要件との関連:チラシ作成や広告宣伝は補助対象経費。改装は販路開拓目的であれば対象となることが多い。商工会議所と計画書を共有し、補助率2/3などを利用。もし賃金引上げ特例やインボイス特例を満たせば補助上限を引き上げ可能。
事例C:テイクアウト部門の強化(飲食業)
- 取り組み内容:菓子製造販売を行うカフェが、テイクアウト商品拡充のための生産設備を導入。さらに、イベント出展や看板看板表記を改善して販路拡大を図る。
- 効果:イベント等での出展機会を増やすことで新規受注が増え、また生産量が向上しテイクアウト注文対応能力がアップ。収益の安定につながる。
- 要件との関連:設備購入は「機械装置等費」として補助対象。イベント出展費・看板・販促費も対象。経営計画書にて販路開拓+業務効率化の両面を示すことで審査での評価が上がる。
成功のポイント(小売・飲食業向け)
これらの事例から「成功を引き寄せる要素」は共通して見られます:
- 販路開拓を明確な目的にすること
どの顧客をどう取り込むか、広告媒体や看板、イベントなど具体策があること。 - 経営計画と実現可能性の整合性
過去の売上データや現状課題(顧客層、認知度、立地など)を明示し、「この改装や広告で改善できる」という根拠を持つ。 - 特例要件を活用できるなら検討すること
インボイス特例、賃金引上げ特例を満たすことで補助上限が上がるので、必要なら要件を整える。たとえば適格請求書発行事業者への登録、賃金台帳の整備など。 - 証憑をきちんと揃えること
見積書/発注書/領収書/支払い記録など、実行・報告段階で求められる書類を前もって準備し、保管しておく。 - 支援機関との連携
商工会・商工会議所の指導・チェックを受けて様式4の発行を確実にすること。申請前のレビューを取ると書類の精度が上がる。
まとめ
小売業・飲食業において持続化補助金が有効に機能するのは、補助金の要件を最新公募要領に沿って設計し、販路開拓や顧客獲得・認知向上という目的を明らかにすることです。通常枠だけでも50万円は使い勝手がよく、上乗せ特例を満たせば大きな支援を得られます。
あなたの事業がどのような形で「来客を増やしたい」「売上を伸ばしたい」「業務効率化を図りたい」かを考えて、上記のような取り組み例を参考に、補助金申請の戦略を練っていきましょう。
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