第10回:顧客の“困りごと”を探す3つの視点
~ビジネスは「悩み・不便・不安」から生まれる~
■ビジネスの出発点は「困りごと」
私は創業支援をしていて、よくこう感じます。
多くの人は「自分がやりたいこと」は語れるのに、
「お客様が困っていること」を深く理解していない。
起業とは「自分のやりたいこと」ではなく、
**「誰かの困りごとを解決すること」**から始まります。
そして、50代で起業する人にとって、
これまでの人生や職業経験が“お客様の困りごと”を理解する上で強く役立ちます。
なぜなら、
●多くの現場を見てきた
●人の悩みを聞いてきた
●失敗も成功も経験してきた
これらはすべて“顧客理解”につながるからです。
では、どうやって「お客様の困りごと」を探せばいいのでしょうか?
ここでは、私が相談現場でいつも使っている3つの視点をご紹介します。
■①「悩み」──言葉にされない本音を拾う
お客様は、本当に困っていることを言葉にしません。
むしろ、「本当の悩み」は隠れています。
たとえば、
- 「ホームページを作りたい」→ 本音は「集客が不安」
- 「SNSを教えてほしい」→ 本音は「時代に遅れたくない」
- 「補助金を取りたい」→ 本音は「失敗したくない」
私はこれを「表の悩み」と「裏の悩み」と呼んでいます。
スキラク®起業を成功させるには、
裏側にある“本当の悩み”に気づけるかどうかが重要です。
そのためには、
- 丁寧に話を聞く
- 相手の立場を想像する
- 心の動きを感じ取る
この3つが欠かせません。
50代で起業する人は、ここが本当に強い。
経験が深いからこそ、人の悩みに敏感なのです。
■②「不便」──小さな違和感がビジネスになる
ビジネスの種は、日常の中にたくさんあります。
特に“ちょっとした不便”は、最高のビジネスアイデアです。
- 書類の作成が難しい
- スマホ操作が複雑
- 調べても情報が分かりづらい
- 店舗の手続きが煩雑
- 高齢者が使いこなせないデジタルサービス
こうした「小さな不便」は、
50代起業家にとって非常に大きなチャンスです。
なぜなら、
「不便」を丁寧に解決できる人は圧倒的に少ないからです。
私は創業相談で、「不便を解消するビジネス」は失敗しづらいと感じています。
なぜなら、派手ではなくても必ずニーズがあるからです。
■③「不安」──“安心”を売るビジネスは最強
人は、「不安」を感じると、お金を払ってでも解決したいと思います。
特に50代以降の市場では、
- 将来への不安
- 手続きの不安
- デジタルの不安
- お金の不安
- 健康の不安
こうした“不安のマーケット”が非常に大きい。
私は、中小企業診断士として相談を受けていて、
多くの人が「未来への不安を減らしてくれる存在」に価値を感じていることを実感しています。
つまり、
「安心を売るビジネス」は、どんな時代でも必要とされる。
“安心”は、価格競争になりにくく、
口コミが広がりやすいという特徴があります。
■「悩み × 不便 × 不安」を同時に見る
この3つの視点を組み合わせることで、
あなたのビジネスはより強く、深く、お客様に寄り添えるものになります。
たとえば、
● 悩み:集客ができない
● 不便:ホームページの操作が難しい
● 不安:お金をかけて失敗したくない
これらが重なった時、
「小規模事業者向け・安心伴走型のデジタル支援」
のようなサービスが生まれます。
私の起業支援も、この3つの視点から構成されています。
■“顧客の困りごと”を探す最も良い方法
最後に、私が強くおすすめしている方法があります。
それは、
“たくさんの人の話を聞く”
ことです。
創業相談を通して分かったことですが、
一人の深い悩みは、100人の共通の悩みです。
人の話を聞くことで、
自分では思いつかないビジネスの種が見えてきます。
そしてその種は、あなたの経験と掛け合わせることで、
唯一無二の価値に変わっていくのです。
■まとめ──困りごとを見つけた人が勝つ
ビジネスとは、
「好きなこと」よりも「困りごと」で生まれます。
- 悩みに気づく力
- 不便を拾う目
- 不安に寄り添う姿勢
この3つが重なると、
あなたのサービスはお客様にとって“なくてはならないもの”になります。
お客様の声の中に、あなたの使命がある。
困りごとを見つけられる人が、起業の成功者になる。
📘 次回は、第11回:「起業初期に必要な資金はいくら?」。
具体的な数字の考え方と、安心してスタートするための資金設計を解説します。
「起業に関心がある」方へ
起業を考えているが迷っている。具体的にどうしたらよいかわからない。。。
そんなお悩みに、アドバイザーとして一緒に伴走します。
必要なのは、「少しの整理」と「最初の一歩」です。
私は港区で日々、創業者の伴走支援を行っています。
もし「自分の想いをどう形にすればいいか分からない」「制度の使い方がよくわからない」といった不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

