第9回:副業から本業へ──ステップ型の起業計画
~50代起業に最も向いている“二段階スタイル”とは~
■いきなり本業にしなくていい
私は創業支援の現場で多くの50代起業家を見てきましたが、
うまくいく方の共通点があります。それは、
「いきなり本業にしないで、副業から始める」
という“ステップ型”の起業を選んでいることです。
50代は、生活や家族の責任、今後の人生設計など、
若い頃とは比べものにならないほど考えることが多い年代です。
だからこそ、リスクを抑え、自分に合ったペースで挑戦できる副業スタートが最適なのです。
私自身も、独立前の数年間は小さなコンサルティング業務を副業として行い、
反応を見ながら少しずつ形にしていきました。
“試しながら育てる”ことで、不安や無理なく自然に本業へと移行できました。
■「副業 → 複業 → 本業」3段階で進む
ステップ型起業の流れは、大きく3段階に分けられます。
① 副業:小さく始めて“反応”を見る
まずは、週末や夜の時間、月数回の活動などで構いません。
初期費用をほとんどかけず、自分のサービスを試す段階です。
- SNSで情報発信
- 試験的な講座やセミナー
- 1日だけのマルシェ出店
- 友人・知人への小規模サービス
大事なのは、「お金よりも反応を見る」こと。
自分の強みは何か、どんな人が喜んでくれるのかが見えてきます。
② 複業:仕事を“両輪”で回す
手応えが出てきたら、次は複業フェーズ。
会社の仕事と起業の仕事を両立しながら、収益化の仕組みを作ります。
- 売上が月3〜10万円程度
- リピート顧客がつく
- サービスが磨かれ、口コミが出始める
この段階では、まだ焦って辞める必要はありません。
むしろ、会社という“生活の基盤”を持っていた方が、
精神的にも経済的にも安定して挑戦できます。
③ 本業:自信と仕組みが整ったら移行
複業を半年〜1年続けると、徐々に「これでいける」という手応えが生まれてきます。
そのタイミングで、本業へ移行します。
本業へ移行するときの判断軸は以下の通りです。
- 副業収入が月10万円以上
- リピート客がいる
- 自分に合った働き方が明確
- “続けたい気持ち”がある
この段階まで行っていれば、無理なく本業化できます。
■“ステップ型”が50代に向いている3つの理由
① 生活リスクが小さい
いきなり退職して起業するよりも、
生活費の心配をせずに、冷静にビジネスを育てられます。
私は創業相談でよくこう言います。
「焦りは判断を誤らせる。焦らない仕組みをつくるのが50代起業です。」
② 自分に本当に合うかどうかを確認できる
好きだと思っていたことでも、
いざ仕事にすると「違った」ということはよくあります。
副業期間は、それを見極める“安全な期間”でもあります。
③ 信頼がゆっくり積み上がる
50代起業の最大の武器は「信頼」です。
副業で少しずつ成果を積み重ねることで、
会社を辞める頃にはすでに顧客基盤ができている、という流れを作れます。
■副業に最適な「初期の3つの活動」
私は副業スタートの方に、次の3つをおすすめしています。
① SNS・ブログなどの「小さな発信」
自分の価値観や専門性を伝えていくことで、
自然と興味を持ってくれる人が集まります。
最初は月1回の投稿でも十分です。
② 無料・低価格のテスト講座
セミナー、ワークショップ、説明会など、
直接お客様の反応を聞ける場はとても貴重です。
③ 小さなプロジェクト受託
知人からの仕事、小さな案件は、副業の宝。
お金よりも「経験」と「実績」を得る場として活用します。
■辞めるタイミングは「収入」ではなく「感覚」
よく「副業の売上が本業の半分を超えたら辞める」と考える方がいますが、
私はあまりおすすめしません。
なぜなら、
売上よりも“続けたい感覚”が本業移行の本質だからです。
もちろん収入は大切ですが、
- この仕事をもっと深めたい
- もっと多くの人の役に立ちたい
- やっていてワクワクする
この感覚が揃ったときこそ、本業移行のベストタイミングです。
■まとめ──「試しながら進む」ことこそ50代起業の王道
副業から始めて、複業へ、そして本業へ。
この三段階のステップ型起業は、
50代にとってもっとも安全で、もっとも成功しやすい方法です。
小さく始める
続けながら磨く
手応えが出たら広げる
この流れさえ守れば、無理なく自然に進んでいけます。
そして何より、
副業期間は“自分の可能性を確かめる”とても楽しい時間です。
焦らず、楽しみながら、自分のペースで育てていく──
それがスキラク®起業の本質だと私は考えています。
📘 次回は、第10回:「顧客の“困りごと”を探す3つの視点」。
ここから「お客様視点」の章に入り、スキラク®起業を実際に形にしていくステップを解説します。
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