はじめに
起業において多くの人が直面する大きな壁が「集客」です。どんなに良い商品やサービスを用意しても、顧客に知ってもらえなければ売上は生まれません。集客戦略は「見込み客との最初の接点をどのように作るか」を体系立てて考えるものです。この記事では、事業計画書に書くべき集客戦略の基本と、実際に成果につながる方法を整理していきます。
集客戦略の位置づけ
事業計画書における集客戦略は、販売戦略と密接に関わっています。販売戦略が「どう売るか」を考えるのに対し、集客戦略は「どう顧客を呼び込むか」が焦点です。金融機関や投資家は「このビジネスに顧客が自然と集まる仕組みがあるか」を見ています。集客戦略が弱いと、どんなに立派な計画も絵に描いた餅になってしまうのです。
集客の基本的な流れ
集客を考えるときは、次の3つの流れを意識すると整理しやすくなります。
- 認知を広げる
広告やSNS、イベントなどでまず存在を知ってもらう段階です。ここで広く認知を獲得できるかが勝負の第一歩となります。 - 興味・関心を持たせる
認知してもらった人に「試してみたい」と思ってもらうために、体験会や試供品、無料相談といった仕組みを用意します。 - 行動につなげる
最終的に来店や購入、申込みといった行動につなげるために、割引や限定キャンペーンなどの後押しを行います。
この3ステップをいかにスムーズにつなげるかが、集客戦略の肝となります。
集客の具体的手法
集客の方法は業種や規模によって異なりますが、代表的な手法を整理すると次の通りです。
- オンライン広告(Google広告・SNS広告)
少額から始められ、ターゲットを絞った配信が可能。短期間で効果検証できる。 - SNS運用(Instagram・X・TikTokなど)
継続的な発信でファンを増やす。写真や動画による世界観の共有が有効。 - SEO対策(検索エンジン最適化)
自社サイトやブログを検索結果に表示させる長期的施策。専門的知識が必要だが、費用対効果は高い。 - リアルでの集客(チラシ・ポスティング・イベント出展)
地域密着型ビジネスでは今も効果的。高齢者やデジタル未活用層へのアプローチに有効。 - 口コミ・紹介制度
既存顧客に紹介特典を用意し、新規顧客を呼び込む。信頼性が高く、コストも抑えられる。
事例で学ぶ集客戦略
たとえば、小さな英会話教室を開業したAさんは、開業当初ほとんど顧客が集まりませんでした。そこで戦略を立て直し、①Instagramで日常英会話のショート動画を毎日投稿、②地域の子育てサークルに無料体験を出張開催、③参加者にLINE登録を促し体験クーポンを配布、という流れを構築しました。半年後にはクチコミが広がり、安定的な集客に成功しました。
このように「オンライン×リアル」を組み合わせると、相乗効果が生まれやすいのです。
集客戦略の失敗例
一方で、集客でよくある失敗も押さえておきましょう。
- ターゲットが曖昧なまま広告を出す → 費用ばかりかかり、効果が見えない。
- 短期間で成果を求めすぎる → 継続的に発信することが信頼につながる。
- 手法を増やしすぎて管理できない → 最初は2~3手法に絞り、PDCAを回す方が効率的。
事業計画書に集客戦略を書く際は、具体的なターゲット・手法・目標を明示し、現実的に実行可能な形で示すことが大切です。
集客戦略と数値目標
金融機関や投資家が特に重視するのは「数値的な裏付け」です。たとえば「SNS広告で1クリック50円、1,000クリック中2%が申込=20人獲得を想定」など、根拠のある数字を示すことで説得力が高まります。
また、集客の目標は売上計画と連動させることが必須です。売上目標から逆算し、「月に何人の来店・申込が必要か」を数値化し、そのために必要な広告費や時間を計算する──これが事業計画書に書くべき姿です。
まとめ
集客戦略は「認知→興味→行動」の流れを設計し、ターゲットに合わせた手法を選ぶことが重要です。オンラインとリアルを組み合わせ、失敗例を避けつつ、数値目標を設定することで、事業計画書における説得力が格段に高まります。起業初期は小さく試し、反応を見ながら改善を重ねる姿勢が成功のカギとなります。
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