事業計画書の書き方 第12回:リピーターを増やす仕組みづくり

はじめに

新規顧客を獲得するのは大変な労力とコストがかかります。マーケティングの世界では「新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍」とよく言われます。だからこそ、事業の安定的な成長を考えるなら、リピーターを増やす仕組みを構築することが欠かせません。事業計画書でも「どのように顧客を繰り返し利用につなげるか」を明示することで、金融機関や投資家に安心感を与えることができます。


リピーター戦略の位置づけ

リピーターを増やす仕組みは、単なる「おまけ」ではなく、事業の利益構造を安定させる要です。なぜならリピーターは以下のようなメリットをもたらすからです。

  • 安定した売上基盤になる
  • 追加の広告費を抑えられる
  • 口コミによる新規顧客獲得の起点になる
  • 価格競争に巻き込まれにくい

つまり、リピーターが増えるほど利益率が改善し、持続可能なビジネスへと育っていくのです。


リピーターを生み出す3つの仕組み

  1. 顧客体験の向上
     第一印象が悪ければ、二度と来てもらえません。サービス品質や接客、商品そのものの満足度を高めることが出発点です。顧客の期待を少しでも上回る体験を提供することが、リピーター創出の最短ルートです。
  2. コミュニケーションの継続
     購入後のフォローや定期的な情報提供が大切です。たとえば、飲食店であれば「季節限定メニューのお知らせ」、美容室なら「次回予約をスムーズに取れるLINE配信」など、顧客との関係を途切れさせない仕組みを持つことが重要です。
  3. インセンティブの提供
     スタンプカードや会員制度、紹介特典などを活用し、「もう一度使いたい」と思わせる動機を用意します。ただし、割引に頼りすぎると利益を圧迫するため、「特別感」や「限定感」を演出する工夫が求められます。

事例で学ぶリピーター戦略

たとえば小さなベーカリーを経営するBさんは、当初は毎日新規顧客の獲得に追われていました。しかし「LINE公式アカウントで毎週の新作パン情報を配信」し、さらに「来店3回ごとに1個無料クーポン」を導入したところ、常連客の来店頻度が大幅に増えました。結果として広告費を減らしながら、売上は安定し、リピーター比率が全体の60%を超えるまでに成長しました。

このように、小さな工夫でも「継続利用の仕組み」を設計することで、経営はぐっと安定します。


失敗しやすいポイント

リピーター施策を考える際に陥りやすい落とし穴もあります。

  • 単発のキャンペーンに頼りすぎる
     その場の来店は増えても、継続利用にはつながらない。
  • 顧客管理ができていない
     誰が常連客で、どんな嗜好を持っているか把握できないと、適切な施策が打てない。
  • サービスが均一化して特別感がなくなる
     「自分だけ大切にされている」という体験を提供できないと、他社に乗り換えられてしまう。

これらを避けるためには、顧客データを管理し、個別の体験や接点を意識的にデザインすることが重要です。


リピーター戦略と数値化

事業計画書にリピーター施策を書く際には、必ず「数値」を添えましょう。

  • 「初回利用者の30%を3ヶ月以内に再来店させる」
  • 「会員制度で年間リピート率60%を目指す」
  • 「LINE登録者のうち20%を毎月来店に結びつける」

このように具体的な目標値を示すことで、計画の実行可能性が高まります。金融機関にとっても「収益の安定性が見込める」ことが伝わりやすくなります。


リピーター戦略を成功させるカギ

リピーターづくりの本質は「信頼関係の構築」です。短期的な割引や特典だけでなく、「この店、このサービス、この人だからまた利用したい」と思ってもらえる関係性をどう築くかが勝負です。テクニックに偏らず、誠実な対応と丁寧な顧客フォローが何よりも重要になります。


まとめ

リピーターを増やす仕組みは、事業を安定させるうえで欠かせません。顧客体験の向上、継続的なコミュニケーション、インセンティブの提供を組み合わせることで、再来店・再利用を自然に促すことができます。事業計画書には、具体的な仕組みと数値目標を明示し、金融機関や投資家に「この事業は長期的に安定して成長できる」と伝えることが重要です。リピーター戦略は小さな工夫からでも始められます。ぜひご自身の事業に合った仕組みを取り入れてみてください。

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この記事を書いた人

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