はじめに
日本の中小企業政策において「補助金」は重要な役割を果たしています。特に中小企業庁や経済産業省が所管する補助金は、全国の中小企業や個人事業主を対象としており、規模・内容ともにインパクトが大きいのが特徴です。本記事では、国が実施する補助金の全体像を整理し、起業家がどのように活用できるかを解説します。
国の補助金の特徴
- 全国を対象とした制度
中小企業庁・経産省が中心となって設計されており、地域や業種を限定せず全国で利用できます。 - 金額規模が大きい
補助上限額は数百万円から1,000万円を超えるものもあり、成長段階に応じて幅広く対応できます。 - 競争率が高い
公募型で審査を経るため、応募件数が多く、採択率は20〜40%程度にとどまることが一般的です。 - 政策目的と連動している
国の成長戦略や産業政策に沿ったテーマ(DX推進、カーボンニュートラル、人材育成など)が重視されます。
主な国の補助金
1. 小規模事業者持続化補助金
- 対象:小規模事業者(従業員数5人以下、商業・サービス業の場合)
- 内容:販路開拓や業務効率化のための費用を補助
- 上限額:50万円〜200万円(特別枠では上限額が拡大する場合もあり)
- 特徴:最も広く利用されている補助金で、初めての申請にも適している
2. ものづくり補助金
- 対象:中小企業全般
- 内容:新商品・新サービス開発や生産性向上のための設備投資を補助
- 上限額:750万円〜1,250万円(事業規模や枠により異なる)
- 特徴:革新的取り組みを重視。製造業に限らず、サービス業やIT業でも活用可能
3. IT導入補助金
- 対象:中小企業、小規模事業者
- 内容:業務効率化やデジタル化を進めるためのソフトウェア導入費用を補助
- 上限額:350万円程度(2024年度時点、枠により変動)
- 特徴:キャッシュレス決済やクラウドシステムなど、身近なIT導入に使いやすい
4. 事業再構築補助金
- 対象:新分野展開や業態転換に取り組む中小企業
- 内容:新規事業立ち上げ、店舗改装、設備導入など幅広い投資を補助
- 上限額:最大1億円(中小企業枠でも数千万円規模が可能)
- 特徴:コロナ禍を背景に創設されたが、現在も事業変革支援の柱として継続
申請の流れ(国の補助金に共通するプロセス)
- 公募要領の入手
中小企業庁や事務局のHPからダウンロードし、対象要件や対象経費を確認。 - 事業計画の策定
補助事業の目的、実施内容、期待効果を明確に記載。数字による根拠が必須。 - 申請書の提出
電子申請(jGrantsなど)が中心。IDや電子証明書の取得が必要な場合もある。 - 審査・採択
事業の新規性、実現性、効果、政策適合性が評価ポイント。 - 実行・報告
採択後は対象経費を支出し、証憑を揃えて実績報告を提出。確認後に補助金が交付される。
起業家が意識すべきポイント
- 規模感を踏まえた選択
創業初期なら持続化補助金、中規模以上ならものづくり補助金や再構築補助金といったように、規模と目的に応じて選ぶこと。 - 政策トレンドを読む
脱炭素、DX、人材育成など、国が重点を置いているテーマに沿った計画は採択されやすい。 - スケジュールに注意
国の補助金は公募期間が限られており、締切を逃すと次回まで数か月待つ必要がある。
まとめ
国の補助金は、起業家や中小企業にとって「成長を加速する資金源」です。
- 全国規模で利用でき、金額規模も大きい
- 採択競争は激しいが、事業計画の質を高める機会になる
- 持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金、事業再構築補助金が代表格
補助金を単なる資金調達手段として捉えるのではなく、「計画を磨き、事業を進化させる機会」として活用することが成功の秘訣です。
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