はじめに
補助金の申請書を作成する際、多くの創業者や中小企業が「事業の想い」や「やりたいこと」に重点を置きがちです。しかし審査員が最も重視するのは、数値に裏付けされた計画かどうか です。数値が明確でなければ、事業の実現可能性や効果を判断できません。逆に数値が整理されていれば、計画の信頼性が高まり、採択率も大きく向上します。
なぜ数値計画が大切なのか
補助金は公的資金を投じる制度です。審査員は「支援に値する事業かどうか」を判断する際、感覚的な表現よりも 数値化された根拠 を求めます。
- 売上見込み → 投資によりどれだけ収益が伸びるか
- コスト削減額 → 効率化によって削減できる経費
- 雇用人数 → 新たに雇用が生まれるか
- 投資回収期間 → どのくらいで補助金効果が出るか
数値がなければ「夢物語」に見えますが、数値があれば「実現可能な計画」として評価されます。
審査員が注目する数値のポイント
1. 売上計画の根拠
「売上を増やす」と書くだけでは不十分です。
- 顧客数 × 客単価 × 来店頻度
- 市場規模とシェアの見込み
など、算式や調査データを用いて示すことが重要です。
2. 経費の妥当性
広告費や設備投資額が相場から大きく外れていないかもチェックされます。複数見積を添付すれば説得力が増します。
3. 損益シミュレーション
売上と経費をまとめた損益予測を提示することで、「黒字化の見込み」が明確になります。
4. 投資効果の具体化
「新規顧客〇名獲得」「作業時間△%削減」といった効果を数値で表すことで、補助金による波及効果が見えやすくなります。
よくある誤りと改善例
- 誤り:「売上は順調に伸びる見込み」
- 改善:「SNS広告により新規客を月50名獲得、1人あたり客単価5,000円で月25万円増加」
- 誤り:「効率化でコストを削減」
- 改善:「クラウド会計ソフト導入により経理工数を月20時間→5時間へ削減、人件費で月3万円の削減」
このように具体的な数字を入れるだけで、説得力が大きく変わります。
数値計画を立てるステップ
- 現状を数値で把握
売上、客数、コスト、作業時間などを記録。 - 改善後の数値を予測
補助金で導入する設備や施策がどの程度効果をもたらすかをシミュレーション。 - シナリオを複数想定
楽観・標準・悲観の3パターンを作成すると信頼性が高まります。 - 根拠を資料化
市場調査データや見積書を添付し、数字の裏付けを示す。
成功事例
港区でカフェを開業した事業者は、補助金を使ってホームページと予約システムを導入。申請書には「予約数を月30件から60件に倍増」「売上を年間600万円から900万円に拡大」という数値目標を記載しました。審査では「具体的で根拠がある」と高く評価され、採択につながりました。
まとめ
補助金申請で大切なのは「想い」だけでなく「数字」です。
- 売上見込み、コスト削減、雇用人数を具体化
- 損益計画や投資効果を数値で表現
- 根拠資料を添付して信頼性を高める
数値計画をしっかり作り込めば、審査員に「この事業は実現可能で支援する価値がある」と伝わります。補助金申請は単なる書類作業ではなく、自社のビジネスを数字で語るチャンスでもあるのです。
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