はじめに
「うちは大企業みたいな広告や予算はないから、マーケティングなんて無理ですよ。」
中小企業の経営者から、こんな声を聞くことがあります。
しかし岩崎邦彦先生は著書の中でこう言います。
「スモールビジネスは“大企業の真似”をしてはいけない。小さいからこそできるマーケティングがある。」
この考え方こそが、スモールビジネスマーケティングの原点です。
大企業のマーケティング:データと仕組みの世界
大企業のマーケティングは、規模と仕組みで動きます。
市場調査、テレビCM、デジタル広告、CRMシステム…。
一人ひとりのお客様を直接知ることは難しく、統計的に「セグメント(層)」で分析するスタイルです。
例えば大手飲料メーカーが新商品を出すとき、ターゲットを「20〜30代女性、健康志向」と定義し、
大量の広告を打って一気に市場を広げます。
つまり「数」で勝負するのが大企業型のマーケティングです。
スモールビジネスのマーケティング:関係と信頼の世界
一方で小さな会社には、顧客と直接会話できる距離の近さがあります。
そこでは、「誰に」「何を」「どう伝えるか」を明確にすることが重要です。
岩崎先生はこう言います。
「スモールビジネスは“関係性”を中心にマーケティングを設計する。」
つまり、広告ではなく関係づくりこそが最大の武器です。
たとえば、ある地域の花屋さんでは「常連客の誕生日に手書きのメッセージカードを添える」という小さな工夫をしています。
この一手間によって、「このお店は私のことを覚えてくれている」と感じた顧客がリピーターとなり、口コミで新規顧客を呼び込む循環が生まれました。
戦う土俵を間違えない
小規模事業が苦戦する理由のひとつは、「大企業と同じ土俵で戦ってしまうこと」です。
広告費、販売網、人員、ブランド力──どれを取っても太刀打ちできません。
しかし、逆に考えれば、スモールビジネスは狭く深く刺さる戦い方ができます。
たとえば、
- 顧客を“全員”ではなく“特定の人”に絞る
- 商品を“量産”ではなく“個別対応”にする
- 広告を打つ代わりに“口コミ”を育てる
これが「小さくても勝てるマーケティング」の構造です。
大企業にはできない価値提供
大企業は「安心・安定」を提供する一方で、個性や温かみを出すのが難しい。
一方、小規模事業は人の顔が見えるサービスを提供できます。
- 店主の想いが伝わる
- 顧客の名前を覚えてくれる
- 声を聴いて商品を変えてくれる
この“人間的な距離の近さ”が、スモールビジネス最大のブランド資産になります。
まとめ ─ “量”ではなく“距離”で勝負
大企業のマーケティングが「システムとデータの戦い」だとすれば、
スモールビジネスのマーケティングは「人と人との信頼の戦い」です。
資金も人材も少なくても、
- 顧客の顔を思い浮かべながら戦略を立てる
- 小さな接点を積み重ねる
- 口コミ・紹介を育てる
この3つを意識するだけで、あなたの会社は確実に“選ばれる理由”を持つようになります。
次回は「第3回:スモールビジネスがマーケティングで失敗しないための3原則」をお届けします。
小さな会社が“やってはいけない勘違い”を、具体的に見ていきましょう。
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