第9回:アメーラトマトに学ぶブランドづくり④ ─ 継続が生む信頼

目次

はじめに

「良いブランドをつくるより、続くブランドをつくることが難しい。」
これは岩崎邦彦先生が講演で語られた言葉です。

どんなに優れた商品でも、一時的なブームで終わってしまえば意味がありません。
スモールビジネスの本当の成功とは、“長く信頼されるブランド”を育てること。
その実例こそが、アメーラトマトです。


一貫した姿勢がブランドを守る

アメーラトマトが生まれてから、すでに30年近くが経ちます。
その間、価格もパッケージも栽培方法も、基本的な方針はほとんど変わっていません。

「変えないことが、信頼をつくる。」

この一貫した姿勢こそ、アメーラブランド最大の強みです。
流行やコストの波に左右されず、「味に妥協しない」という原点を守り続けた結果、
消費者の中に「アメーラ=信頼できる味」という認識が定着しました。

スモールビジネスでも同じです。
新しいことに挑戦するよりも、“大切にしている価値を守ること”がブランドを育てます。


継続のための「仕組み」をつくる

アメーラトマトの生産者たちは、信頼を守るために「仕組み」を整えました。

  • 糖度検査を出荷のたびに実施
  • 品質基準を満たさないトマトは出荷しない
  • 全国の生産者が同じ栽培マニュアルを共有

こうした取り組みは、“信頼の再現性”を高めるためのもの。
ブランドは、偶然ではなく再現できる品質管理によって維持されるのです。

「努力を継続できる仕組みがあるかどうかが、ブランドの持続を決める。」

小さな会社でも、マニュアル化・共有化・定期点検など、
「守り続ける仕組み」を意識することが重要です。


ブランドは“続ける人”が育てる

もうひとつ、アメーラトマトの継続を支えているのが“人のつながり”です。
生産者同士が定期的に集まり、品質・販売・発信について意見を交わします。

この「仲間との共有」が、ブランドの価値を守る力になります。
小さな会社でも、同業者や顧客との信頼関係を築くことで、
ブランドを支える“チームの文化”を育てられるのです。

ブランドを続けるのは「商品」ではなく「人の意志」。

経営者自身が想いを持ち続けることが、ブランドの継続力を決めます。


継続には“変えない部分”と“変える部分”がある

「変えないことが大事」とはいえ、すべてを固定することが正解ではありません。
アメーラトマトも、時代に合わせて販売チャネルや発信手法を少しずつ進化させてきました。

  • SNSで生産者の声を発信
  • 新パッケージで環境配慮をアピール
  • ギフト需要に合わせたサイズ展開

軸は変えずに、表現を変える。
このバランスこそ、長く愛されるブランドの秘訣です。


まとめ ─ 継続こそ最大のブランド戦略

アメーラトマトが教えてくれるのは、次の3つの原則です。

  1. 一貫した姿勢を守る
     → 「変えないこと」が信頼を積み上げる。
  2. 努力を仕組み化する
     → 品質や発信を“再現できる形”に整える。
  3. 軸を保ちながら柔軟に進化する
     → 「想いは変えず、伝え方を変える」。

スモールビジネスのブランドは、時間を味方につけることで強くなります。
“継続”こそが、最もコストのかからないマーケティング戦略です。

次回は、「第10回:アメーラトマトに学ぶブランドづくり⑤ ─ 地域とともに育つブランド」で、
地域資源や仲間と連携してブランドを拡げる視点を紹介します。


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この記事を書いた人

「好きなことを仕事にする」起業家の挑戦を応援する、東京都港区の起業支援会社です。
起業の道をともに歩むパートナーとして、豊富な実務経験と支援実績をもとに、実践的な伴走支援を行っています。
クライアントの夢の実現に向けて、専門性と創造性を活かしながら全力でサポートいたします。

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