はじめに
スモールビジネスのブランドは、会社や商品だけで完成するものではありません。
本当に強いブランドとは、お客様と一緒に育てていくブランド です。
アメーラトマトもその一例です。
消費者が単なる“購入者”ではなく、“応援者”としてブランドを支えてきました。
これはまさに、岩崎邦彦先生が提唱する「共創型マーケティング(Co-creation)」の実践です。
「顧客は“買う人”ではなく、“育てる仲間”である。」
“お客様の声”を活かすブランドづくり
アメーラトマトは、発売当初から消費者の声を丁寧に集めてきました。
「甘さがちょうど良い」「贈り物に喜ばれた」などの感想を、パンフレットや公式サイトで紹介。
ときには生産者が手紙でお礼を返すこともありました。
こうした双方向のやり取りが、消費者に「自分もこのブランドの一部だ」という感覚を生み出したのです。
スモールビジネスでも、アンケートや口コミを“分析データ”ではなく“対話のきっかけ”として扱うことが大切です。
お客様の言葉を発信に取り入れるだけで、ブランドの温度がぐっと上がります。
“応援者”を生む仕組み
ファンは自然には生まれません。
企業が「応援したくなる関係」をつくる努力が必要です。
アメーラトマトでは、次のような取り組みを行いました。
- 産地見学会の開催:消費者を畑に招き、栽培の様子を体験してもらう。
- 会員限定ニュースレター:新商品の紹介だけでなく、生産者の物語を発信。
- ギフトキャンペーン:「大切な人にアメーラを贈ろう」という想いを共有。
これらは単なる販促ではなく、共感を深める仕組みです。
「一緒にブランドを育てている」という感覚を持つことで、顧客は“購入者”から“応援者”へと変わります。
顧客参加型マーケティングの3ステップ
1. お客様の意見を受け入れる
まずは“聴く姿勢”を持つこと。
すべてを採用する必要はありませんが、真摯に耳を傾ける姿勢が信頼を生みます。
2. お客様の声を「見える化」する
寄せられた感想やエピソードをSNSやホームページで紹介しましょう。
それが新しい顧客への「第三者の証言」になります。
3. お客様と一緒にブランドを作る
イベント・キャンペーン・投稿などを通じて、お客様自身がブランドの一部になれる場を提供します。
“体験”が共有されると、そこから自然と口コミが生まれます。
ブランドは「伝える」より「共に作る」ことで広がる。
ファンがブランドを守る
アメーラトマトのようなブランドには、「この味を守りたい」と感じるファンが多く存在します。
SNSで商品の魅力を紹介する人、贈答品として選び続ける人──。
こうしたファンの存在が、ブランドを“自走”させています。
スモールビジネスにとって、これは非常に大きなヒントです。
一度生まれた信頼関係は、広告費をかけずともブランドを広めてくれる最大の力になります。
まとめ ─ “顧客が育てるブランド”の時代へ
スモールビジネスの時代において、ブランドは「企業のもの」ではなく「顧客と共有するもの」です。
顧客が語り、応援し、仲間を増やしてくれる。
その循環をつくることが、持続的なマーケティングの最終形です。
岩崎先生の言葉を借りれば、
「顧客とともに歩むことが、スモールビジネス最大の競争優位になる。」
次回は、「第12回:口コミと紹介がブランドを広げる ─ 信頼の連鎖を生む仕組み」で、
顧客が自然にブランドを伝えてくれる仕組みづくりを解説します。
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