はじめに
「うちは昔からこのやり方でやってきた。」
長く続く会社ほど、この言葉をよく口にします。
確かに、変えないことには価値があります。
しかし、岩崎邦彦先生はこうも言っています。
「変えないことが信頼を生むが、変えないことがリスクになる時代でもある。」
つまり、**“軸は変えずに、表現を変える”**ことが、スモールビジネスに求められる時代になったのです。
ブランドは「守るもの」から「進化するもの」へ
ブランドの目的は“過去を守ること”ではなく、“未来に選ばれ続けること”。
そのためには、時代や顧客の変化を読み取り、柔軟に進化する必要があります。
アメーラトマトも例外ではありません。
創業当初から「味の良さ」という核を守りながらも、
- 新しい流通チャネルへの展開(百貨店・オンライン販売)
- SNSによる情報発信
- サステナブルな栽培法への転換
など、時代に合わせて“伝え方と仕組み”をアップデートしてきました。
変化とは、「軸を磨き続ける行為」である。
「軸を残して変える」ための3つのステップ
1. 核となる価値を明確にする
まず、「何を変えてはいけないか」を明確にすること。
それがブランドの“芯”になります。
アメーラトマトの場合、それは「糖度と味へのこだわり」。
この部分を守り抜いたからこそ、他の要素を自由に変えることができたのです。
あなたの会社でも、「顧客があなたを選ぶ理由」は何かを整理しておきましょう。
2. 顧客の変化を観察する
時代が変われば、顧客の価値観も変わります。
たとえば、
- 若年層は“環境や社会性”を重視する
- SNSでは“映える見た目”が購入のきっかけになる
- 都市部では“体験型”の消費が増えている
アメーラトマトも、ただ「甘いトマト」ではなく、
「自然と共生する高品質農産物」としてメッセージを更新しています。
スモールビジネスも、“顧客が何に共感しているか”を常に観察し、発信を磨き直すことが大切です。
3. 変化を小さく試す
変化は大きくなくていい。
むしろ、小さく試して、うまくいったものを広げる方がリスクが少ないのです。
たとえば、
- SNS投稿のトーンを少し変えてみる
- 新しい顧客層向けに限定商品を出してみる
- デザインを刷新して、反応を測る
アメーラトマトのパッケージも、最初は“限定流通版”でテストを行い、好評を得て全体に展開しました。
“変化の検証”が、ブランドの進化を安全に導く。
「変えない信念」と「変える柔軟さ」
ブランド再構築の本質は、「どこを変えて、どこを残すか」を見極めることです。
これは、会社の価値観を再確認する絶好の機会でもあります。
岩崎先生は、静岡の中小企業支援でこう指摘しています。
「変わらない信念があるからこそ、変える勇気が持てる。」
つまり、軸を持たないまま変えると“迷走”になりますが、
信念を持った上での変化は“進化”になるのです。
まとめ ─ 進化し続けるブランドであるために
スモールビジネスが時代に合わせて再構築を行う際のポイントは、次の3つです。
- 変えてはいけない“価値の核”を定める
- 顧客の変化を敏感にキャッチする
- 小さく試しながら柔軟に進化する
ブランドは固定されたものではなく、生きている存在です。
変化を恐れず、学び、挑戦を続ける姿勢こそが、お客様の信頼を深めていきます。
「ブランドとは、“変わらずに進化する力”である。」
次回は、「第15回:スモールビジネスのブランドストーリー ─ 物語で伝えるマーケティング」へ。
あなたの会社の想いを“物語”として伝える方法を解説します。
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