はじめに
「初めてのお客様より、二度目のお客様を大切にする」──
これは、スモールビジネス経営の鉄則です。
岩崎邦彦先生は著書の中でこう述べています。
「小さな会社にとってのマーケティングとは、“もう一度来てもらう仕組み”である。」
どんなに素晴らしい商品やサービスでも、“一度きりの出会い”ではブランドになりません。
“リピート”こそが信頼の証であり、ブランドを持続させる最大の戦略なのです。
リピートが生まれるのは「感情」が動いたとき
お客様が再訪する理由は、価格や利便性ではありません。
「気持ちが動いた」「心地よかった」「また会いたい」と思ったときに人は戻ってきます。
たとえば、ある花屋さんでは、購入時に店主が「この花は一週間後に少し色が変わりますよ」とひと言添えるそうです。
その一言が“次も買って確かめたくなる”体験につながる。
これが、スモールビジネスにしかできない“感情のリピート設計”です。
リピートを生む3つの仕組み
1. 記憶に残る“体験の余韻”をつくる
人は、店を出た瞬間ではなく、“家に帰ってから”その体験を思い出します。
だからこそ、余韻を意識した仕掛けが大切です。
たとえば:
- 手書きメッセージを添える
- 開封時に香りが広がるようにする
- SNSで「購入後に楽しむ方法」を発信
このように“帰ってからも心に残る工夫”を加えると、自然と次の来店動機が生まれます。
2. “名前で呼べる関係”を育てる
岩崎先生はこう語ります。
「顧客を覚えているという行為が、最大の信頼表現である。」
小さな会社だからこそ、お客様の名前、好み、過去の購入履歴を覚えられます。
「前回もいらっしゃいましたね」「この商品、また仕入れましたよ」と声をかける。
この“記憶の共有”が、顧客に「自分は特別に扱われている」という安心感を与えます。
3. “次に来る理由”を明確に示す
リピートを促すには、自然な“次の動線”を設計することが大切です。
たとえば:
- 「次回ご来店時に○○を体験できます」
- 「季節限定の新商品は来月発売」
- 「感謝イベントのお知らせをお送りします」
顧客に“次に行く理由”があれば、再訪率は大きく変わります。
アメーラトマトも、「旬の時期にしか手に入らない」「糖度が季節で変わる」など、
“限定性”を巧みに活かしてリピート購入を促しています。
リピートの鍵は「小さな約束の積み重ね」
お客様がリピートする理由は、“信頼が積み重なった結果”です。
その信頼を生むのは、大きなキャンペーンではなく、日々の小さな約束の履行です。
- いつも同じ味、同じ品質
- 丁寧な対応がブレない
- 予約や配送が時間通り
こうした「当たり前の一貫性」が、無意識の安心感を生みます。
「ブランドは、期待通りであり続ける勇気である。」
リピートを“仕組み化”する3つのステップ
- 顧客情報を記録する
名前・購入履歴・好みなどをデータやノートで管理。 - 接点を定期的につくる
ニュースレター、SNS投稿、DM、手紙など。
「忘れられない存在」になる工夫を。 - 感謝を伝えるルーチンをつくる
「1年記念」「誕生日」「初来店から100日」など、
“感謝の節目”を設けて関係をリフレッシュする。
まとめ ─ リピートは信頼のバロメーター
リピート客が多い会社は、信頼が積み重なっている会社です。
スモールビジネスの成長は、「新規客の数」より「再訪客の深さ」で決まります。
- 感情が動く体験をつくる
- 名前で呼べる関係を築く
- 次の来店理由を設計する
アメーラトマトのように、「また食べたい」「また会いたい」と思われるブランドこそ、
スモールビジネスの理想の形です。
「リピートとは、“次も信じてもらえた”という最高の評価である。」
次回は、「第20回:ファンを育てるコミュニティマーケティング」で、
リピート顧客を“ブランドの仲間”へと育てる戦略を紹介します。
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