第2回:なぜ今、シニア起業が注目されるのか
■起業は若者のもの、という誤解
かつて「起業=若者の挑戦」というイメージがありました。
しかし、実際のデータを見ると、そのイメージはすでに過去のものです。
中小企業庁の調査によれば、日本の起業家の平均年齢は47歳前後。
50代で創業する人の割合は、年々増加しています。
なぜでしょうか?
それは、人生100年時代を迎えた今、50歳は「折り返し」ではなく「第2のスタート地点」だからです。
40年働く時代から、60歳以降も20年現役で働く時代へ──。
これまでの経験や人脈を活かし、自分らしい働き方を実現する人が増えているのです。
■「定年」がなくなる時代
私が相談を受ける中でも、「会社を辞めたあとも何かをしたい」という声は多くなっています。
企業の雇用制度も変化し、60歳定年はすでに過去の概念になりつつあります。
定年延長、再雇用、副業解禁──。
つまり、社会の仕組み自体が“多様な働き方”を前提に動き始めているのです。
こうした中で、「起業」はもはや特別な選択肢ではなくなりました。
むしろ、自分のペースで働き続けるための現実的な選択肢として、自然に受け入れられつつあります。
50代起業は「リスク」ではなく、「人生を持続可能にする戦略」なのです。
■「経験」と「信頼資産」が最大の武器
若い起業家にあって、シニア起業家にしかない武器があります。
それが、経験と信頼資産です。
長年の仕事で培った専門性、業界のネットワーク、誠実な人間関係。
これらは、お金では買えない貴重な資産です。
50歳を過ぎると、体力や瞬発力は若者に敵わないかもしれません。
しかし、“経験から生まれる判断力と信頼”は、若手には真似できない強みです。
ある経営者はこう言いました。
「50代から起業して良かったのは、人が信頼してくれたことです。」
その信頼が、初めての顧客を呼び、紹介を生み、事業の基盤になっていきます。
■社会が「地域」と「小規模」を求めている
もうひとつの背景は、社会のニーズの変化です。
少子高齢化と人口減少により、大企業だけではカバーしきれない課題が地域に山積しています。
・地域商店の後継者不足
・高齢者支援や教育、福祉分野の需要拡大
・中小企業のデジタル化サポート
・地域観光、リユース、文化の継承
これらの分野では、経験豊富な50代・60代起業家の存在が欠かせません。
たとえば港区でも、創業支援の現場では「元会社員が地域密着型のビジネスを始めたい」という相談が増えています。
地方創生の文脈でも、「地域に根ざしたスモールビジネス」が高く評価される時代です。
■行政の支援も、50代起業を後押ししている
東京都や港区など自治体の創業支援制度も、シニア起業を強く後押ししています。
・港区特定創業支援等事業(創業計画・補助金の優遇)
・東京都創業助成金(上限400万円)
・小規模事業者持続化補助金(販促・HP制作にも活用可能)
これらはすべて、「経験を活かして社会に貢献する起業家」を支援する仕組みです。
年齢が高いことはマイナスではなく、むしろ「信頼性の高さ」「社会的信用の厚み」としてプラスに働きます。
■50代からの起業は、“挑戦”ではなく“継承”
50代の起業は、ゼロからの挑戦ではなく、これまでの人生で得た価値の再活用です。
過去のキャリアを整理し、自分が誰の役に立てるのかを再定義する。
それができるのは、長年の経験を持つ世代だからこそです。
そして何より、50代の起業には「安定した基盤の上で、心からやりたいことを形にできる」強みがあります。
私自身も、会社員時代に得た知見と人脈をベースに、“好き”を軸にした起業・経営支援事業を立ち上げました。
■まとめ ─ 新しい働き方の主役は、あなた
今の日本社会は、シニア起業家を必要としています。
経験、誠実さ、そして人を大切にする姿勢。
これらは、若い世代が最も求めている“信頼の力”です。
50歳からの起業は、キャリアの終わりではなく、信頼の始まり。
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