第8回:好きを仕事にするときの注意点
~“好き”が燃え尽きない働き方とは~
■「好きだからこそ、危険なこともある」
私はこれまで多くの50代・60代の起業希望者を支援してきました。
その中で感じるのは、“好き”を軸にした起業には、大きな力がある一方で、落とし穴もあるということです。
好きなことを仕事にするのは素晴らしいことです。
しかし、好きなだけにのめり込みやすく、
気づかないうちに無理をしたり、自分を追い込んだりする方も少なくありません。
“好き”を守りながら、“仕事”として続ける──
そのためには、考えておくべきポイントがいくつかあります。
■①「好き」と「ビジネス」は、必ずしも一致しない
好きだからこそ、「これがビジネスになるはずだ」と思い込みが強くなることがあります。
しかし、“好き”はあくまで原動力であって、
ビジネスとして成立するかどうかは、
お客様が喜んでくれるかどうかで決まります。
私は常にこうお伝えしています。
「やりたい仕事」ではなく「求められる仕事」を探しましょう。
好きでも、誰も困っていなければビジネスにはなりません。
逆に、好きで、誰かが困っていて、あなたが価値を提供できる──
そこにスキラク®起業の可能性が広がります。
■②「好き」にお金の話を混ぜると複雑になる
好きなことほど、お金の話になると感情が揺れます。
- 「料金を上げたいけど、好きなことだから申し訳ない」
- 「お金をもらうと、好きが汚れる気がする」
- 「趣味でやってきたことに値段をつけるのが怖い」
こうした気持ちは誰にでもあります。
しかし、ここで自分を安売りすると、長く続けることが難しくなります。
料金設定をするときは、
「好きだから安くする」ではなく
「長く続けるための価格にする」
この考え方が大切です。
好きだからこそ、適正な対価をいただく。
その方が、お客様も真剣に向き合ってくれます。
■③「好き」を仕事にすると、嫌いになることがある
これは非常に重要なポイントです。
好きで始めたはずなのに、
- 集客
- 売上管理
- SNS投稿
- クレーム対応
などが重なって、気づくと「好き」が減っていくことがあります。
つまり、
“好きなこと”には必ず“好きじゃない作業”がついてくる。
私自身も、起業初期はすべて自分でやっていましたが、
業務が増えるにつれて、好きだった「相談支援」よりも、
経理や事務作業に時間が取られてしまうことがありました。
この解決策はシンプルです。
「好きじゃない部分を外注・自動化する」。
これだけで、驚くほど負担が減り、好きな活動に集中できます。
■④「好き」を“仕事レベル”に磨く必要がある
好きなだけではだめで、
相手が“お金を払いたい”と思うレベルにまで仕上げる必要があります。
- 技術を磨く
- 見せ方を整える
- 価格を適正化する
- 専門性を打ち出す
- 実績をつくる
これは「努力が必要」という話ではありません。
むしろ、“好きだからこそ磨き続けられる”という視点が大切です。
好きなことは、努力ではなく、自然と続けられる。
だから、仕事レベルに進化させることができるのです。
■⑤「好き」を守るためには、休む勇気が必要
多くの50代起業家がハマる落とし穴があります。
それは、**「頑張りすぎて好きが壊れる」**ことです。
起業したては、特に力が入りすぎるものです。
- SNSを毎日更新しないと
- 売上を上げなければ
- お客様を断ってはいけない
こうした義務感に縛られると、
“好き”が“苦しみ”に変わってしまいます。
だからこそ私は、
「休むことが、好きな仕事を守ること」
と伝えています。
休みながら、自分のペースを守りながら進むことで、
好きが長持ちし、ビジネスも続いていきます。
■まとめ──好きで始めて、好きのまま続けよう
“好き”は起業のスタート地点です。
そして同時に、長く続けるための大切なエネルギーです。
しかし、好きだからこそ、
- 無理をしてしまう
- お金の話が苦手
- 業務が増えて負担になる
- 自分の価値を安くしてしまう
こうした落とし穴があることも事実です。
好きを守るためには、距離感と工夫が必要。
好きを育てるためには、磨く努力が必要。
そして、好きを続けるためには、休む勇気が必要。
この3つを意識しておけば、
好きな仕事は長く続き、あなたの人生を豊かにしてくれます。
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