第11回:起業初期に必要な資金はいくら?
~“安心して始めるため”のお金の考え方~
■「いくら必要か?」よりも「どう使うか?」
創業相談で最も多い質問のひとつが、
「起業にはいくら必要ですか?」
というものです。
私は必ずこう答えています。
「金額そのものより“お金の使い方”が重要です。」
起業資金には“正解の金額”がありません。
なぜなら、
- 小さく始める人
- 設備投資が必要な人
- 自宅でできる人
- 店舗が必要な人
で全く違うからです。
ただ、50代の起業には共通のポイントがあります。
それは、
「無理をしない・背伸びをしない・安全に始める」
ということ。
50代からの起業に必要なのは、
“大きな初期投資”ではなく、
“続けられる資金設計”です。
■起業資金は3つに分けて考える
私は相談者の方には、資金をこの3つに分類するようお伝えしています。
① 初期費用(スタートに必要な費用)
これは最もわかりやすい費用です。
- ホームページ
- 名刺・チラシ
- パソコン・プリンター
- 開業届・登録費
- 店舗の場合は内装・備品
ただし、私が強くお伝えしたいのは、
「昔より圧倒的に低コストで起業できる時代になった」
ということです。
たとえば、
ホームページは昔100万円以上でしたが、
今はWordPress・Canva・ChatGPTを使えば
数万円以下で十分なものができます。
多くの50代起業は、
初期費用は10〜30万円で収まります。
店舗や設備が必要な場合は別ですが、
コンサル、講師、サービス業などはこの範囲で十分です。
② 運転資金(続けるための資金)
意外と見落とされがちなのが、この運転資金です。
これは「利益が出るまでの生活費+事業費」です。
- 生活費
- 家賃
- 通信費
- 交通費
- クレジットカードの固定費
- 広告費
私は、相談者の方には必ず
「最低3ヶ月、できれば6ヶ月の生活費を確保してください」
とお伝えしています。
なぜなら、起業してすぐに売上が立つケースはまれだからです。
焦りは判断を誤らせます。
生活費があるだけで、起業の成功確率が格段に上がります。
③ 予備資金(心の安定を買うお金)
これは一見すると不要に見えますが、
50代起業では非常に大切です。
- 想定外の出費
- 魅力的なチャンス
- トラブル対応
- 医療費
こうした“もしもの時”のための予備資金があるだけで、
心の余裕が生まれ、
結果として正しい判断ができるようになります。
私は、50〜100万円程度の予備資金を推奨しています。
■結論:50代起業の目安は「50〜150万円」
相談実績から見ると、
店舗を持たない50代の起業は、
総額50〜150万円でスタートするケースが最も多いです。
内訳の目安は以下の通りです。
- 初期費用:10〜30万円
- 運転資金:30〜80万円(3〜6ヶ月分)
- 予備資金:10〜40万円
もちろん、業種により変わりますが、
「大金がなければ起業できない時代」は終わりました。
むしろ、
『大きく始める』より『小さく長く続ける』ことが成功の鍵。
50代起業は、一般的なイメージよりもずっと低リスクで始められます。
■補助金・融資をうまく使うと資金リスクはさらに下がる
東京・港区での起業であれば、
補助金や融資制度を賢く使うことで、
初期費用や運転資金の負担を大きく減らすことができます。
- 東京都 創業助成金(上限400万円)
- 港区 創業・スタートアップ支援事業補助金(上限100万円)
- 日本政策金融公庫の創業融資
私も日々の支援でこれらを活用していますが、
“リスクを減らし、安心してスタートする”という点で非常に有効です。
特に港区の補助金は採択率も高く、
正しく申請すれば十分にチャンスがあります。
■50代起業に必要なのは「予算」ではなく「戦略」
最後に、最も伝えたいことがあります。
それは、
「お金の多さが起業の成否を決めるわけではない」
ということです。
私が見てきた成功例は、
資金が豊富だったから成功したのではなく、
小さく始め、無駄をなくし、自分の強みを磨いた人です。
逆に、資金が多すぎて初期投資をしすぎ、
固定費が重くなってしまうパターンは危険です。
50代起業の最強の戦略は、
- 固定費を抑える
- 小さく始める
- 補助金を使う
- 継続できる設計にする
この4つです。
■まとめ──“安心して始める起業”が一番うまくいく
50代からの起業は「攻める起業」ではなく、
**“守りながら続ける起業”**です。
- 無理に大きく始めない
- 固定費を増やさない
- 生活費を確保する
- 小さく試しながら育てる
- 補助金で負担を下げる
この考え方を守れば、
起業は決して怖いものではありません。
お金の不安が減ると、アイデアが広がる。
安心感があると、挑戦できる。
そして挑戦できる人が、50代でも成功する。
これが、私が支援の現場で見続けてきた“リアルな答え”です。
📘 次回は
第12回:「50代起業で失敗しない固定費の削り方」
固定費をどう抑えるか──これは50代起業では必須のスキルです。
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