第13回:最初の5人の顧客をどう獲得するか
~“小さく深く”から始める50代起業の営業術~
■顧客ゼロの状態は“当たり前”
起業相談では、必ずと言っていいほど、
「お客様はどうやって獲得すればいいですか?」
という質問をいただきます。
そのたびに私はこう答えています。
「最初から10人も20人も必要ありません。最初は5人で十分です。」
起業初期に必要なのは、
“大きな顧客数”ではなく、
“深くつながる最初の5人”です。
むしろ、この5人をしっかり満足させられれば、
口コミ・紹介・リピートが自然に広がり、
10人、20人と増えていきます。
50代起業の強みは、
「少数の顧客と深く長くつき合えること」。
ここを軸にすれば、営業は決して怖くありません。
■① まず「会ったことがある人」から始める
最初からSNSで集客しようとすると、多くの人がつまずきます。
起業初期に最も反応が良いのは、
**これまでの人生でつながってきた“リアルな人間関係”**です。
たとえば——
- 以前の同僚
- 取引先
- 地域のつながり
- 趣味の仲間
- ママ友・パパ友
- 地元の友人
「連絡するのが気まずい…」という声もありますが、
実際にやってみると、
「え、そんな仕事やってるの?相談したかった!」
という反応が本当に多い。
私は、独立直後に知人へ近況報告のメッセージを30通送りました。
その結果、**最初の顧客3人は“過去の知人”**でした。
人は、“知らない人のサービス”より、
“知っている人のサービス”を選ぶものなのです。
■② SNSは「発信」より「対話」を優先する
SNS集客というと、
- 毎日発信
- フォロワーを増やす
- バズらせる
と思ってしまいがちですが、
50代起業ではこの考えは不要です。
実は、
SNSは「発信」よりも「対話」と「信頼」の方が圧倒的に重要。
やるべきことはシンプルです。
✔ ① 興味のある投稿にコメント
→ “認知”より“関係”を作る
✔ ② 共感できる人の発信にリアクション
→ 人柄を知ってもらえる
✔ ③ 自分の専門領域を少しずつ書く
→ 過剰に宣伝しない
SNSは「自分を知ってもらう場所」であり、
「売り込みの場所」ではありません。
そして、実際にお申込みにつながるのは、
発信の“量”よりも関係性の濃さです。
■③ 小さな無料・低価格メニューを用意する
最初から高額サービスを売ろうとすると、
お客様にとってハードルが高くなります。
そこでおすすめしているのが、
“お試し”の小さなメニューをつくること。
たとえば——
- 相談30分(無料 or 2,000円)
- ワンコイン講座
- 初回限定の体験セッション
- 自分の専門性を活かしたミニ講座
私は独立当初、
「創業相談30分:無料」を行いました。
すると、次のような流れが生まれました。
無料相談 → 好印象 → 1回の有料支援 → 継続契約
小さな入口は、
お客様にとって「試しやすい窓口」になります。
■④ “困りごと”を聞けば、自然と仕事になる
最初の5人は、
「売り込み」ではなく「聞くこと」で獲得できます。
私は、会った人に必ずこう聞きます。
「今、どんなことで困っていますか?」
「最近、不便だと思うことはありますか?」
これだけで、仕事の話になります。
なぜなら、
人は“困っていること”を解決してくれる人を求めているからです。
あなたが「話を聞く側」に回ると、
相手は安心感を持ち、
信頼し、
「お願いできますか?」と自然に言ってくれます。
50代は“聞く力”が武器です。
この力を活かせば、営業は必要ありません。
■⑤ 最初の5人は「紹介」で生まれる
驚かれるかもしれませんが、
起業初期に最も強力なのは、
**「紹介」**です。
紹介が起こる条件は3つあります。
✔ ① 信頼できる
✔ ② 話しやすい
✔ ③ 実績が少しでもある
つまり、
大きな成果や派手なプロモーションは不要なのです。
私は独立直後、
3人の顧客 → そこから5人 → そこから10人
という形で、紹介だけで広がっていきました。
そのきっかけは、
「小さな相談に丁寧に向き合った」こと。
大きな顧客より、
最初の5人を大事にすることが、
本当の意味での“集客”です。
■まとめ──最初の5人が、その後の50人を連れてくる
起業初期のポイントは、以下の通りです。
- 知っている人から始める
- SNSは発信よりも対話
- 小さな入口メニューを作る
- 売りこむより、困りごとを聞く
- 紹介は最大の集客ツール
50代起業はスピード競争ではありません。
“関係の質”がすべてです。
最初の5人と深くつながれば、
その5人が、次の50人を連れてきてくれる。
私はその現実を、
創業支援の現場で何度も見てきました。
📘 次回は
第14回:「信頼されるプロフィールのつくり方」
50代起業の武器である「経歴」と「経験」をどう表現するか──
実務的にわかりやすく解説します。
「起業に関心がある」方へ
起業を考えているが迷っている。具体的にどうしたらよいかわからない。。。
そんなお悩みに、アドバイザーとして一緒に伴走します。
必要なのは、「少しの整理」と「最初の一歩」です。
私は港区で日々、創業者の伴走支援を行っています。
もし「自分の想いをどう形にすればいいか分からない」「制度の使い方がよくわからない」といった不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

