リーンを「言い訳」にしない事業計画の作り方
― 計画性と柔軟性は両立できます ―
対象書籍:
リーン・スタートアップ
シリーズ:
起業本を「読んだつもり」で終わらせない実務レビュー
はじめに
リーン・スタートアップを学んだ起業家の中には、
次のような説明をしてしまう方がいます。
「リーンで進めたいので、細かい計画は作っていません」
「状況を見ながら柔軟に決めていく予定です」
本人としては前向きなつもりでも、
融資や補助金、事業計画書の場では、
- 計画性がない
- 実行力が見えない
- 責任の所在が曖昧
と評価されてしまうことがあります。
この記事では、
リーン・スタートアップを“計画放棄の言い訳”にしないために、実務で何を決め、何を柔軟に残すべきか
を整理します。
リーンを誤用すると起きやすい問題
計画がいつまでも固まらない
「検証しながら進める」という言葉を重視しすぎると、
- いつまでが検証期間なのか
- どの時点で判断するのか
が決まらないまま進んでしまいます。
その結果、
事業計画書が“途中経過の説明”で終わってしまうことがあります。
数字とスケジュールが弱くなる
リーンを理由に、
- 売上は様子を見て
- 経費は状況次第
- 時期は未定
という書き方になると、
計画としての評価は大きく下がります。
柔軟であることと、
決めないことは別です。
リーンと計画性は対立しません
固める部分と、柔軟にする部分を分けます
リーン・スタートアップを実務で使う場合、
次の切り分けが重要です。
必ず決めるべきこと
- 事業の目的
- 提供する価値の方向性
- 初期の収益モデル
- 体制と役割分担
柔軟に見直すこと
- 提供方法の詳細
- 顧客セグメントの細分化
- 機能やメニューの優先順位
すべてを固定する必要はありませんが、
すべてを未定にしてはいけません。
「検証前提」でも必要な数字があります
検証中であっても、
- 初期投資はいくらか
- どの段階で損益分岐を目指すのか
- 最低限必要な売上水準はどこか
といった 判断の基準となる数字 は必要です。
これがないと、
「学習している事業」ではなく
「流されている事業」に見えてしまいます。
実行力が伝わる事業計画書の特徴
スケジュールが具体的です
実行力が伝わる計画書には、
- いつまでに
- 何を行い
- どの段階へ進むのか
が書かれています。
検証が前提であっても、
節目(判断タイミング) は明確に示す必要があります。
体制と役割が明確です
リーンであっても、
- 誰が意思決定をするのか
- 誰が検証を担うのか
- 外部支援をどう使うのか
が整理されていると、
実行可能性が高く評価されます。
判断ルールが見えます
リーン・スタートアップの本質は、
「素早く判断する」ことです。
そのためには、
- どんな結果なら続けるのか
- どんな結果なら修正するのか
- どの時点で方向転換するのか
という 判断ルール が必要です。
これが書けている計画書は、
非常に評価が高くなります。
リーンを使いこなせる起業家の条件
リーン・スタートアップは、
誰にとっても万能な手法ではありません。
向いている起業家の特徴
- 仮説を言語化できる
- 行動と結果を記録できる
- 判断理由を説明できる
注意が必要な起業家の特徴
- 直感だけで動く
- 記録を残さない
- 判断を先送りしがち
リーンは、
考える力と説明力があって初めて機能する手法です。
まとめ:リーンは「計画を捨てる考え方」ではありません
リーン・スタートアップは、
- 計画を軽くするための理論ではありません
- 準備不足を正当化する考え方でもありません
判断の質を高め、実行力を示すための思考法です。
融資や補助金、事業計画書の場では、
何を決めていて、
何を検証中として残しているのか
を明確に説明できることが重要になります。
リーンを正しく使えば、
計画性と柔軟性は十分に両立できます。
シリーズ総括(リーン・スタートアップ実務レビュー)
全4回を通じてお伝えしたかったのは、次の一点です。
リーン・スタートアップは、
「未完成でいい」という免罪符ではなく、
説明できる事業にするための道具である。
この視点を持てば、
リーンは融資・補助金・事業計画書の場面でも、
強力な武器になります。
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