― 起業の科学で考えるビジネスモデルの作り方 ―
― 計画性と柔軟性は両立できます ―
対象書籍:
起業の科学
シリーズ:
起業本を「読んだつもり」で終わらせない実務レビュー
はじめに
創業相談や事業計画書のレビューをしていると、
次のようなケースに頻繁に出会います。
「アイデア自体はとても良いと思います」
「ただ、事業としてどう成立するのかが見えません」
本人としては、
- 顧客も想定している
- 課題も整理している
- やりたいことも明確
それでも、
融資や補助金で評価が伸びないことがあります。
その原因の多くは、
アイデアと事業構造がつながっていないことにあります。
この記事では、『起業の科学』の考え方を使って、
「アイデア止まり」から「事業として説明できる構造」へ変える視点を整理します。
アイデアと事業の決定的な違い
アイデアは「発想」、事業は「構造」です
アイデアとは、
- こんなサービスがあったら良い
- こんな課題を解決したい
という 発想レベルの話です。
一方、事業とは、
- 誰に
- 何を
- どのように提供し
- どうやって収益を得るのか
という 構造として説明できるものです。
融資や補助金の審査では、
この「構造」が説明できているかどうかが重視されます。
「強みがある」だけでは足りません
事業計画書でよく見られる表現に、
- 独自性があります
- 他社にはない強みがあります
というものがあります。
しかし、その強みが、
- 誰に
- どの場面で
- どのように価値として届くのか
まで説明されていないと、
評価につながりません。
『起業の科学』が示す「事業構造」の考え方
事業は要素の組み合わせでできています
『起業の科学』では、事業を次のような要素に分解して考えます。
- 顧客
- 顧客の課題
- 提供価値
- 提供方法(チャネル)
- 収益の取り方
重要なのは、
これらが一貫してつながっているかです。
事業構造が弱い計画書の特徴
評価されにくい計画書には、次のような特徴があります。
- 顧客と提供価値が噛み合っていない
- 提供方法が現実的でない
- 収益モデルが後付けになっている
この状態では、
「良いことを言っているが、事業として成り立つのか分からない」
と判断されてしまいます。
事業構造を事業計画書にどう落とすか
「価値 → 提供 → 収益」の流れを意識します
事業構造を説明する際は、
- どんな価値を提供するのか
- その価値をどうやって届けるのか
- どこで収益が生まれるのか
この順番で説明するのが基本です。
いきなり「売上〇〇万円」と書くのではなく、
収益が生まれる仕組みを先に説明することで、
数字の納得感が高まります。
「なぜその形なのか」を説明します
事業構造で最も重要なのは、
なぜ、この構造を選んだのか
という点です。
- なぜこの顧客なのか
- なぜこの提供方法なのか
- なぜこの価格設定なのか
これらが、
顧客仮説・課題仮説とつながって説明できていれば、
事業の一貫性が評価されます。
融資・補助金で見られる「事業構造」の違い
融資の場合
融資では、
- 安定的に収益が生まれる構造か
- 継続性があるか
- 無理のない運営体制か
が重視されます。
そのため、
- 過度に複雑なモデル
- 実行に時間がかかりすぎる構造
は、慎重に見られます。
補助金の場合
補助金では、
- 新規性
- 波及効果
- 政策目的との整合性
が評価ポイントになります。
この場合も、
- 事業構造が整理されている
- なぜこの形で実施するのかが説明できる
ことが前提になります。
「事業構造」が弱いと数字も信用されません
事業構造が曖昧なまま数字だけを書いても、
- その売上はどうやって生まれるのか
- なぜその単価なのか
という疑問に答えられません。
逆に、
- 顧客
- 提供価値
- 提供方法
が整理されていれば、
数字は 結果として理解されるもの になります。
まとめ|事業構造は「説明の背骨」です
『起業の科学』が教えてくれるのは、
派手な成功事例ではありません。
事業を構造として捉え、説明できる形にすることです。
融資・補助金・事業計画書の場面では、
アイデアが良いかどうか
ではなく
事業として説明できるかどうか
が評価を分けます。
事業構造を整理することは、
事業の可能性を狭めることではありません。
事業の説得力を高めることにつながります。
次回予告
次回はいよいよ最終回、
「売上計画の数字は、どこから疑われるのか」 をテーマに、
- 根拠のない数字が嫌われる理由
- 起業の科学で考える売上計画の前提条件
を解説します。
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