港区で創業する人は、東京都創業助成事業をどう考えるべきか
港区補助金・持続化補助金<創業型>との違いと、申請の順番
前回は、東京都創業助成事業そのものの見方について整理しました。
今回はその続きとして、港区で創業する人が東京都創業助成事業をどう考えるべきかを、もう少し実務的に整理してみたいと思います。
港区で創業を考える人にとって、候補になりやすい制度は大きく3つあります。
東京都創業助成事業、港区創業・スタートアップ支援事業補助金、そして小規模事業者持続化補助金<創業型>です。
どれも創業者にとって魅力的な制度ですが、内容はかなり違います。しかも、先にどれを使うかによって、後から使えなくなる制度があるため、港区で創業する方は「制度の比較」だけでなく、申請の順番まで考えておく必要があります。
東京都創業助成事業は、創業者向けとしてはかなり大きい
東京都創業助成事業の魅力は、やはり規模の大きさです。
助成限度額は上限400万円、下限100万円、助成率は2/3以内です。対象経費には、**賃借料、広告費、器具備品購入費、専門家指導費、従業員人件費、委託費(市場調査・分析費)などが含まれています。特に、人件費と賃借料が対象になるのは大きな特徴です。
対象者は、都内で創業予定の個人、または都内で事業を行う創業5年未満の個人事業主や法人代表者等ですが、申請には東京都が定める創業支援事業の利用要件があります。たとえば、TOKYO創業ステーションのプランコンサルティングや、都内区市町村の認定特定創業支援等事業の証明など、所定の要件を満たす必要があります。
つまり東京都創業助成事業は、金額が大きく、対象経費も広い一方で、準備と要件確認が必要な制度です。
「とりあえず出してみる」というより、しっかり計画を立てて取りにいく制度だと考えた方がよいと思います。
港区の補助金は、立ち上げ費用を支える地域密着型
これに対して、港区創業・スタートアップ支援事業補助金は、より地域密着で、創業当初の立ち上げ費用に使いやすい制度です。
補助上限額は最大250万円、補助率は3分の2で、対象経費は賃借料、設備費、広報費、ホームページ作成費です。港区内で創業し、申請時に創業2年未満であることが必要で、港区産業振興課の商工相談を受けて創業計画書を作成することが求められます。
東京都と比べると、港区の方が金額は小さく見えるかもしれません。
ただ、港区で事務所を借り、ホームページを作り、最低限の設備や広報を整えるという創業初期の動きには、とても相性がよい制度です。特に、港区で小さくても着実に立ち上げたい人には、かなり使いやすいと思います。
持続化補助金<創業型>は「売るため」の制度
もう一つの候補である小規模事業者持続化補助金<創業型>は、東京都や港区とは少し性格が違います。
この制度は、創業後1年以内の小規模事業者で、特定創業支援等事業による支援を受けたことが要件です。補助上限は200万円、補助率は2/3で、対象経費は機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費などです。
この制度のポイントは、販路開拓に強いことです。
広告、チラシ、ホームページ、展示会、新商品開発など、「どう売るか」を支援する制度であり、東京都創業助成事業のように人件費や通常の事務所家賃を支える制度ではありません。だから、事業の立ち上げ資金全体を支えるというより、売上づくりの初動を後押しする制度として見る方が分かりやすいです。
港区創業者が一番気をつけたいのは「順番」
ここが一番大事です。
港区の募集要項では、東京都の創業助成金及び小規模企業持続化補助金の創業枠を受けている者は対象外とされています。つまり、先に東京都創業助成事業や持続化補助金<創業型>を使うと、後から港区創業・スタートアップ支援事業補助金が使えなくなる可能性があります。
これは港区で創業する人にとって、かなり大きな論点です。
制度だけを個別に見ていると、「東京都は400万円で大きい」「港区は250万円で使いやすい」「持続化は販路開拓向け」といった比較で終わってしまいがちです。ですが実際には、どれを先に使うかで選択肢が変わります。
ですから、港区の創業者にとっては、
「どの制度が有利か」ではなく、
「自分は何にお金を使いたいのか」
「港区の制度を残したいのか」
「今の創業段階で何が最優先か」
を整理することがとても大切です。
どう使い分けるとよいか
考え方としては、次のように整理すると分かりやすいです。
まず、港区の制度を使いたい人。
港区で事務所を借り、設備を入れ、ホームページや広告も整えたいなら、港区創業・スタートアップ支援事業補助金はかなり有力です。地域密着型で、港区の商工相談員と一緒に創業計画書を作っていく流れも、初めての創業には安心感があります。この場合は、東京都や持続化創業型を先に使わない方がよいケースが多いです。
次に、最初から大きく投資したい人。
たとえば、人を採用したい、家賃負担も重い、事業を一気に立ち上げたいという場合には、東京都創業助成事業の魅力は大きいです。上限400万円で人件費まで対象になる制度は、創業者にとってやはり強力です。その代わり、準備の質、要件確認、資金計画まで含めた対応が必要になります。
そして、まず売上づくりを優先したい人。
広告、販促、WEB、展示会などに力を入れて、まずは顧客を取りたいという場合は、持続化補助金<創業型>が向いています。ただし、これも先に使うと港区が使えなくなるので、港区制度を視野に入れている人は慎重に考えた方がよいです。
第2回以降を見据えるなら、今やるべきこと
今の時期は、直近の締切に飛び込むよりも、次回公募を見据えて準備する方が現実的なケースも多いと思います。
その意味で、今やるべきことは明確です。
まず、どの制度を本命にするか決めること。
次に、その制度に必要な創業支援や相談を先に受けておくこと。
そして、創業時期と対象期間を意識して、順番を間違えないことです。
小規模持続化補助金<創業型>は創業後1年以内、港区は創業2年未満、東京都は創業5年未満です。早い段階しか使えない制度ほど、後で取り返しがつきにくいので、今のうちから準備しておく意味があります。
まとめ
港区で創業する人にとって、東京都創業助成事業は非常に魅力的な制度です。
ただし、それを「大きいからまず狙う」と単純に考えるのは危険です。
港区には、港区独自の創業支援制度があります。
さらに、販路開拓に強い持続化補助金<創業型>もあります。
だからこそ、港区で創業する人は、
制度の比較だけでなく、申請の順番まで含めて考える必要があるのです。
補助金は、単に取れるものを取るのではなく、自分の創業計画に合わせて、順番も含めて戦略的に使うものだと思います。
港区で創業するなら、その視点をぜひ持っておきたいところです。
「起業に関心がある」方へ
起業を考えているが迷っている。具体的にどうしたらよいかわからない。。。
そんなお悩みに、アドバイザーとして一緒に伴走します。
必要なのは、「少しの整理」と「最初の一歩」です。
私は港区で日々、創業者の伴走支援を行っています。
もし「自分の想いをどう形にすればいいか分からない」「制度の使い方がよくわからない」といった不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

