AIで仕事を減らした先に何をしますか?

AIで仕事を減らした先に、何をしますか?

AI活用というと、「何時間削減できたか」「何人分の仕事をこなせるか」といった効率化に目が向きがちです。

もちろん、時間の削減は大切です。しかし、企業のAI活用事例を整理するなかで、私が気になったのは、その先でした。

空いた時間を何に使うのか。人が担う仕事を、どう変えていくのか。

ここまで考えることで、AI活用は単なる作業の効率化ではなく、経営そのものの改善につながっていくのだと思います。

目次

1.減らした時間を、価値を生む仕事へ

たとえば、飲食店で電話対応や予約管理、売上集計などの事務作業が減ったとします。

それだけでも現場の負担は軽くなります。しかし、本当に大切なのは、そこで生まれた時間の使い方です。

お客様との会話を増やす。スタッフを教育する。新しいメニューを考える。お店をよくするための話し合いを行う。

忙しくて後回しにしていたことに、ようやく手が届くようになります。

経営者にとっても同じです。小さな会社ほど、一人が担う役割は多くなります。現場を回しながら、採用、資金繰り、新商品、情報発信、今後の事業展開まで考えなければなりません。

AIが資料や文章のたたき台を作ってくれれば、経営者はゼロから作る時間を減らし、その内容を判断し、次の行動を決めることに時間を使えます。

AIに仕事を任せる目的は、単に忙しさを軽くすることではありません。人にしかできない仕事へ、時間を振り向けることにあります。

2.過去の確認から、今の対策を考える会議へ

もう一つ、私が重要だと感じているのが、経営数字を早く把握するためのAI活用です。

売上は販売管理システム、仕入れは受発注システム、人件費は勤怠や給与のシステムというように、会社の情報は複数の場所に分かれています。

情報を集め、Excelに転記し、数字を確認する。会議資料を作るだけで、かなりの時間がかかります。

ようやく資料が完成しても、載っているのは少し前の数字です。今月の対策を考えたいのに、過去の確認だけで会議が終わってしまうこともあります。

情報を集約し、概算でも早く状況を確認できれば、原価率の上昇、人件費の増加、商品の売れ方の変化などに気づきやすくなります。

ただし、数字を早く出すことだけを優先してはいけません。

速報値なのか、確認済みの確定値なのか。どの資料をもとにしているのか。未確認の項目はどこなのか。

数字を早く出すことと、その数字をどこまで信頼できるかを示すことは、セットで考える必要があります。

3.AI活用は、身近な困りごとから始める

AIを導入するとき、立派な計画書や詳しい仕様書を、最初から用意する必要はないと感じます。

たとえば、次のような日々の困りごとが出発点になります。

「毎月、この二つのExcelを見比べるのが大変」

「見積書を作り、メールに添えるまでに時間がかかる」

「仕事のやり方が、ベテランの頭の中にしかない」

まずは、実際に使っている帳票を見せ、作業の流れを説明します。うまく説明できなければ、AIに質問してもらう方法もあります。

出てきたものを確認し、「ここは違う」「この場合は別の処理が必要」「最後にこの人の承認がいる」と修正していきます。

最初から完璧な仕組みを作るのではなく、業務を知っている人が、少しずつ使える形に育てていく。その進め方が、中小企業には合っているのではないでしょうか。

4.AIの「できました」を、そのまま信じない

一方で、AIの「できました」を、そのまま信じてよいわけではありません。

見た目の整った表でも、一部の処理が抜けているかもしれません。もっともらしい説明が書かれていても、根拠が弱いことがあります。

件数や合計金額を元の資料と照合する。処理結果から原本に戻れるようにする。判断できなかった項目を「未確認」として残す。最後は担当者が確認する。

こうした確認作業まで含めて、仕事の仕組みを設計する必要があります。

AIを導入したから、人の確認が不要になるわけではありません。むしろ、AIに何を任せ、どこで人が確認するのかを明確にすることが大切です。

5.現場の経験を言葉にする

私は、中小企業のAI活用では、経営者や現場の方が持っている経験を、どのように引き出すかが重要だと考えています。

どの数字を見て判断しているのか。いつもの処理と例外では何が違うのか。お客様への対応で何を大切にしているのか。

長く仕事をしている人ほど、こうした判断を自然に行っています。しかし、それが言葉になっていないことも少なくありません。

経験を言葉にできれば、AIに任せられる部分と、人が判断すべき部分が見えてきます。仕事の引き継ぎや人材育成にも役立ちます。

経営支援でも、単に便利なツールを紹介するだけではなく、現場の仕事と判断基準を一緒に整理していきたいと思います。

まずは、一つの仕事から

まずは、毎月繰り返している仕事を一つ選んでみてはいかがでしょうか。

そして、その仕事が少し楽になったら、空いた時間で何をしたいかを考えてみます。

お客様と話す。スタッフを育てる。新しい商品を考える。これまで会えなかった人に会いに行く。あるいは、少し早く仕事を終えて、心と体を休める。

どれも、会社を長く続けていくために大切なことです。

AIで何ができるかを考える前に、AIによって生まれた時間を何に使いたいのかを考える。

その使い道が見えてくると、AIに取り組む理由も、自分たちの言葉で説明できるようになるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

「好きなことを仕事にする」起業家の挑戦を応援する、東京都港区の起業支援会社です。
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