50歳からの起業ライフ:第7回

第7回:小さく始めて大きく育てるリーン起業

~リスクを抑えて、続けながら磨くスキラク®の実践法~


目次

■「最初から完璧」を目指さない

起業を考えると、多くの人が最初にこう思います。

「しっかり準備してから始めよう」
「完璧な事業計画ができてから動こう」

しかし、実際の起業では**“完璧を待つほど遅れる”**のが現実です。
計画に時間をかけすぎると、チャンスを逃し、熱が冷めてしまう。
大切なのは、完璧さではなく「動きながら考える姿勢」です。

私はこれを、**“リーン起業(Lean Startup)”**の考え方で説明しています。
リーンとは「無駄を省く」「軽やかに試す」という意味。
つまり、最小限のコストと時間で検証を重ねながら、現実に合ったビジネスを育てていく考え方です。


■まずは「仮説」でいい

最初からすべての答えを持っている人はいません。
むしろ、成功している起業家ほど「まず試す」ことに長けています。

たとえば、

  • ネットショップを始める前に、まずはフリマアプリで販売してみる
  • 店舗を持つ前に、週末マルシェで出店して反応を見る
  • 本格的な講座を開く前に、無料セミナーで参加者の反応を聞く

こうした“小さなテスト”の積み重ねが、確信に変わっていきます。

私自身も独立初期は、セミナーのテーマや内容を何度も試しました。
最初は手応えが薄くても、少しずつ反応を見ながら方向を修正するうちに、
「スキラク起業」という軸が明確になっていきました。

動きながら考える。それが最も確実な準備になる。


■「最小構成」で始める勇気

スモールスタートとは、“最小限で始める勇気”です。
オフィスや高額設備がなくても、今は多くのことが始められます。

  • SNSで情報発信
  • 無料ツールで予約や集客
  • CanvaやChatGPTでチラシやホームページを作る
  • コワーキングスペースで打ち合わせ
  • クラウドサービスで経理・請求を効率化

以前なら初期費用が数百万円かかったことが、今は数万円以下でできます。
必要なのは「始める決意」と「続ける仕組み」だけです。


■「小さく始める」と、失敗が怖くなくなる

大きく始めると、失敗が怖くなります。
でも、小さく始めれば、失敗しても軌道修正が容易です。

リーン起業の原則は、「小さく試す → 学ぶ → 改善する」のサイクルを素早く回すこと。
このプロセスを繰り返すうちに、自然とビジネスモデルが磨かれていきます。

私の支援先の中でも、「最初は月1回のイベントから始めて、半年後には常設店舗になった」ケースがあります。
このように、最初の一歩を軽くすることで、成長のスピードが上がるのです。

小さな挑戦は、小さな成功を積み重ねる最良の方法。


■数字で見る“安心の起業”

スモールスタートの最大のメリットは、「資金リスクの低さ」です。
初期費用を抑えることで、補助金や自己資金を有効に使えます。

たとえば、東京都創業助成金や港区の創業・スタートアップ支援事業補助金を活用すれば、
ホームページ・チラシ・広報費・設備購入費などの最大2/3が補助されます。
つまり、リスクを減らしながら挑戦できる仕組みがすでに整っているのです。

起業初期こそ、借入よりも「小さく+補助金で始める」方が安全です。
失敗しても再挑戦できる。それが、安心して動ける最大のポイントです。


■“継続できるスピード”が最強の成長戦略

50代での起業は、瞬発力よりも持続力です。
焦らず、自分のペースで検証と改善を繰り返す。
この“安定したスピード感”が、長期的な信頼につながります。

急がない人ほど、長く続く。

リーン起業の目的は、早く儲けることではなく、確実に価値を積み上げること
その積み重ねが、スキラク®起業の実践そのものなのです。


■まとめ ─「試す起業」から始めよう

小さく始めて、大きく育てる。
それは、経験豊富な50代だからこそできる賢い起業の形です。

大きな計画を立てるよりも、まず小さく試して、学びながら育てる。
失敗を恐れず、続けながら磨く。
これこそが、スキラク®の精神に最も近い実践法です。

起業とは、一歩踏み出して“確かめていく”旅。
小さく始める人ほど、最終的に遠くへ行ける。


📘 次回は、第8回:「好きを仕事にするときの注意点」
“好き”を軸に起業する際の落とし穴と、長く続けるための工夫を具体的にお伝えします。

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この記事を書いた人

「好きなことを仕事にする」起業家の挑戦を応援する、東京都港区の起業支援会社です。
起業の道をともに歩むパートナーとして、豊富な実務経験と支援実績をもとに、実践的な伴走支援を行っています。
クライアントの夢の実現に向けて、専門性と創造性を活かしながら全力でサポートいたします。

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