11席の焼き鳥屋で見た「続く商売」の理由
メニューのない焼き鳥屋
先日、昔ながらの焼き鳥屋に行きました。
カウンターだけの小さなお店です。席は11席。メニューはありません。
席に座ると、その日の仕入れや流れに合わせて、店主がおまかせで焼き鳥を出してくれます。
40年通うお客様
隣に座った男性と、少し話をしました。
その方は、この店に40年通っているそうです。
しかも、今の店主のお父さんの代ではなく、さらにその前。先々代の頃から通っているとのことでした。
40年。
簡単に言える年月ではありません。
1万円を置いて帰る信頼
帰り際、その方は1万円を置いて帰りました。
細かく会計を確認する様子もありません。
「また来るよ」
そんな雰囲気で、自然に席を立っていきました。
その姿を見て、私は少し考えました。
このお店には、商品や価格だけでは説明できない「信頼」があるのだと思います。
小さな商売に必要なもの
小さな商売では、つい「もっと集客しなければ」と考えがちです。
ホームページを作る。SNSを更新する。広告を出す。キャンペーンを考える。
もちろん、それらは大切です。
でも、その前に考えたいことがあります。
「もう一度来たい」と思ってもらえるか。
「この人に任せたい」と思ってもらえるか。
「この店が続いてほしい」と思ってもらえるか。
11席でも強い商売はできる
11席しかないお店でも、40年通ってくれるお客様がいます。
これは、とても強い商売です。
一度だけ来るお客様を100人集めるより、何度も来てくれるお客様が10人いる方が、商売は安定します。
さらに、そのお客様は単なる売上ではありません。
お店の歴史を知っている人であり、お店の空気をつくってくれる人でもあります。
50歳からの起業へのヒント
50歳から起業する方にとっても、これは大切なヒントです。
若い人のように、勢いで一気に拡大する必要はありません。
大きなお店を構える必要もありません。
たくさんの商品を並べる必要もありません。
むしろ、自分が本当に提供できるものを絞り込み、信頼してくれるお客様と長く付き合う。
その方が、無理のない商売になります。
「おまかせ」が成り立つ理由
メニューのない焼き鳥屋は、言い換えれば「選択肢を増やさない商売」です。
でも、それが不便ではなく、価値になっています。
なぜなら、お客様が店主を信頼しているからです。
「この人に任せれば大丈夫」
そう思ってもらえる関係があるから、おまかせが成り立つのです。
すべてのお客様に選ばれなくていい
何でもできます。
何でも選べます。
何でも安くします。
そういう商売は、一見わかりやすいですが、競争にも巻き込まれやすくなります。
一方で、
「この分野なら任せてください」
「このやり方でやっています」
「合う人に長く来てもらえればいい」
という商売は、小さくても強くなります。
大切なのは、すべてのお客様に選ばれることではありません。
自分の価値をわかってくれるお客様に、長く選ばれることです。
「また来るよ」と言われる商売
あの焼き鳥屋の11席は、単なる座席ではありませんでした。
40年分の信頼が積み重なった場所でした。
1万円を置いて帰った常連客の姿は、売上の話というより、関係性の話だったのだと思います。
商売は、商品を売って終わりではありません。
「また来ます」
「またお願いします」
「ここがなくなると困ります」
そう言ってくれる人を、少しずつ増やしていくこと。
それが、長く続く商売の土台になります。
50歳からの起業では、派手な成長よりも、続けられることが大切です。
無理に広げるよりも、信頼できるお客様と、長く付き合える形をつくる。
11席の焼き鳥屋で見たのは、そんな商売の原点でした。
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